COVID-19抗ウイルス薬
日本感染症学会(‣):「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第 15.1 版」
モルヌピラビル | ニルマトレルビル・リトナビル | エンシトレルビル フマル酸 | |
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ラゲブリオカプセル200mg | パキロビッドパック600/300 | ゾコーバ錠125mg | |
PMDA | PMDA | PMDA | |
効能又は効果 | SARS-CoV-2による感染症 | SARS-CoV-2による感染症 | SARS-CoV-2による感染症 |
用法及び用量 | 18歳以上の患者)1回800mgを1日2回、5日間経口投与 | 成人・12歳以上かつ体重40kg以上の小児)1回0.5Sh(ニルマトレルビル300mg、リトナビル100mgを同時に)1日2回、5日間経口投与 | 12歳以上の小児及び成人)1日目3錠(375mg)、2日目から5日目は1錠(125mg)を1日1回経口投与 |
妊娠 | 禁忌 (女性)前回の月経以降、性交渉していないことの確認。投与中・最終投与後4日間は避妊の必要性。 | 有益性 | 禁忌 (女性)前回の月経以降、性交渉していないことの確認。投与中・最終投与後2週間は避妊の必要性。 |
授乳婦 | 有益性 | 有益性 | 授乳しないことが望ましい |
小児 | 18歳未満を対象とした臨床試験は実施していない | 小児等を対象とした臨床試験は実施していない | 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない |
腎機能 | ー | 腎機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:禁忌 中等度の腎機能障害のある患者:ニルマトレルビルを減量 重度の腎機能障害のある患者:投与は推奨されない | 腎機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:禁忌 |
肝機能 | ー | 肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:禁忌 肝機能障害のある患者:血中濃度↑ | 肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者:禁忌 重度の肝機能障害患者:臨床試験は実施していない |
相互作用 | ー | CYP3Aを強く阻害、P-gpを阻害 ニルマトレルビル及びリトナビルはCYP3Aの基質 併用禁忌あり | チトクロームP450 3A(CYP3A)の基質、CYP3Aを強く阻害 P-gp・BCRP・OATP1B1・OATP1B3阻害作用 併用禁忌あり |
薬価(5日分) | 86,596円 | 99,027.5円 | 44,444.4円 |
有効性
JN.1系統に対して
BA.2.86系統と比較して検査精度、抗ウイルス薬の有効性が低下するという知見はない
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エンシトレルビル フマル酸
(オミクロン以降)軽症〜中等症Ⅰの患者 発症から 72 時間以内に投与されたエンシトレルビル(125 mg)は,プラセボ群と比較し,5 症状を約 1 日早く改善させた https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38335000/
レムデシビル
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者 レムデシビルの早期投与は重症化リスクの高い(多くは免疫不全)患者において入院や死亡を 84%低下させた https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36285176/
モルヌピラビル
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者 モルヌピラビルは重症化リスクの高いワクチン接種済者において入院や死亡を減らさなかった https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36566761/
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者 モルヌピラビルの早期投与は死亡を減らしたが入院を減らさなかった https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36216007/
(オミクロン以降)高リスク(50歳以上 or 18歳以上で合併症を持つ)の患者、長期間フォローアップ(3ヶ月または6ヶ月)
モルヌピラビル群では、重症または持続的な症状の発生率が有意に低く、健康関連の生活の質が改善された。また、仕事を休む日数も減少し、医療機関の利用も減少したが、効果の絶対値は小さかった。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39265595/
ニルマトレルビル・リトナビル
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者ニルマトレルビル/リトナビルは 18-50 歳の重症化リスクの高いワクチン接種済者において救急外来受診,入院または 30 日以内死亡を減らした https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37387690/
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者
(オミクロン以降)重症化リスク因子のある軽症〜中等症Ⅰの患者ニルマトレルビル/リトナビルは 65 歳以上の高齢者において,入院や死亡を減らしたが若年者でその効果は認められなかった https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36001529/
安全性
心血管系
- SARS-CoV-2ウイルス自体が心血管系に悪影響を与える可能性がある
- COVID-19に対する抗ウイルス療法は、特に心血管系リスクが高い患者に対して、慎重に管理されるべき →患者の心血管系の状況を慎重にモニタリングすることが重要
- 多くの抗ウイルス薬は、QT延長、心室性頻脈、徐脈、心筋障害など、さまざまな心血管系の副作用を引き起こす可能性がある
- レムデシビル:徐脈、QT延長、心室頻拍
- パキロビッド:徐脈や薬剤相互作用による副作用
- モルヌピラビル:心筋障害
- ヒドロキシクロロキン・イベルメクチン:心室頻拍やQT延長を引き起こすリスクが高い
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39251859/
引用(|)を付しているのは、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 10.1 版」内でまとめられていた論文