DPP-4阻害薬による類天疱瘡への適切な処置について

PMDAからの医薬品適正使用のお願い
 
参考資料)日本皮膚科学会:皮膚科 Q&A・類天疱瘡(水疱症)
 
日本皮膚科学会:「類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドリアン」
○薬剤との関連について
CQ. 類天疱瘡を引き起こしうる薬剤には、どのようなものがあるか?
  • ループ利尿薬:“特に、フロセミドとの強い相関が報告されている”
ループ利尿薬:粗オッズ比2.4 (95%CI, 1.2-5.0); 調整オッズ比 3.8 (1.5-9.7)
  • DPP-4 阻害薬:“近年 DPP-4 阻害との関連の報告が増加している”
 
CQ. DPP-4 阻害薬の中で、リスクに差はあるのか
11.1 重大な副作用
類天疱瘡
アナグリプチン
アログリプチン安息香酸塩
サキサグリプチン水和物
シタグリプチンリン酸塩
テネリグリプチン臭化水素酸塩
ビルダグリプチン
リナグリプチン
オマリグリプチン
トレラグリプチンコハク酸塩
全ての DPP-4 阻害薬は、添付文書に重大な副作用として類天疱瘡の記載がある
 
ROR (FAERS データ) vs 全 FAERS 薬
ビルダグリプチン 1022.83(909.45–1150.35)
アナグリプチン   628.63(221.36–1785.24)
テネリグリプチン  521.87(311.10–875.43)
アログリプチン   162.71(125.81–210.43)
リナグリプチン   116.91(100.25–136.35)
シタグリプチン   33.42(28.99–38.52)
サキサグリプチン   11.17(6.00–20.80)
Patrick M Jedlowski et al., Am J Clin Dermatol, 22 (6), 891-900 (2021) [PMID: 34287770]
 
ROR(フランスファーマコビジランスデータ)
vildagliptin (ROR 225·3, 95% CI 148·9–340·9)
sitagliptin (ROR 17·0, 95% CI 8·9–32·5)
saxagliptin (ROR 16·5, 95% CI 2·3–119·1)
Béné J et al., Br J Dermatol. 175(2), 296-301 (2016). [PMID: 27031194]