09 対面授業(糖尿病薬:低血糖と腎機能を軸に整理する)

90分の流れ(今日やること)

時間内容ゴール
0〜5分事前学習確認「作用点」と「起こり過ぎること(副作用)」で整理する
5〜20分糖尿病薬+インスリン低血糖につながる薬を言える
20〜35分脂質・骨・尿酸(要点)目的(将来予防)と重要注意点を言える
35〜55分整理演習(4分類)作用/改善/問題/観察をセットで書ける
55〜85分症例(段階提示)食事不良+腎機能低下での観察・報告ができる
85〜90分小テスト今日の型を確認する

到達目標(対面)

  1. 糖尿病薬を作用点で分類できる
  1. インスリンの種類と食事の関係を説明できる
  1. 低血糖を発見し、初期対応につなげられる
  1. 腎機能低下時に薬剤の再評価が必要な理由を説明できる
  1. 脂質・骨・尿酸治療の目的と重要な注意点を説明できる

5〜20分|糖尿病薬を作用点で整理(全体像)

薬効群主な作用特に注意(看護の視点)
インスリン不足を補う低血糖、食事、単位・取り違え
SU薬分泌促進遷延性低血糖
速効型分泌促進食後分泌促進食事を摂らない時の低血糖
DPP-4阻害インクレチン増強腎機能で用量調整が必要な薬がある
GLP-1作動分泌促進(血糖依存)悪心・嘔吐、摂食低下
ビグアナイド肝糖産生抑制腎機能、脱水、低酸素、乳酸アシドーシス
チアゾリジン抵抗性改善浮腫、心不全、体重増加
α-GI吸収遅延腹部症状、低血糖時はブドウ糖
SGLT2阻害尿糖排泄脱水、感染、ケトアシドーシス
配合薬機序を組合せ成分重複に注意

20〜35分|脂質・骨・尿酸(“目的”を先に言う)

脂質異常症

  • 目的:検査値を下げるだけでなく将来の動脈硬化性疾患を予防
  • スタチン:筋症状、CK、肝機能、相互作用

骨粗鬆症

  • 目的:骨折予防
  • 経口ビスホスホネート:服薬方法が重要(空腹時・水・横にならない)

高尿酸血症・痛風

  • 急性発作:炎症・疼痛を抑える
  • 長期管理:尿酸値を下げて発作・結石などを予防
  • 目的の違いを混ぜない(発作時に自己判断で尿酸降下薬を中止しない)

35〜55分|整理演習(4分類)

薬剤カードを、次の4項目で整理する。
  1. どこに作用するか
  1. 何を改善するか
  1. 何が起こり過ぎる可能性があるか(副作用・有害事象)
  1. 何を観察するか
例
薬作用起こり得る問題観察
インスリン血糖↓低血糖血糖、食事、意識
SGLT2阻害尿糖排泄脱水、感染、ケトアシドーシス水分、尿、全身状態
スタチン合成抑制筋障害筋痛、脱力、CK

55〜85分|症例(段階提示)

第1段階|食事摂取不良とインスリン

78歳女性。2型糖尿病で入院中。 持効型インスリン+毎食前の超速効型インスリンを使用。 朝食前血糖98mg/dL。悪心があり「今日は食べられない」。 eGFR 28。
Q1 投与前に確認すること
  • インスリンの名称と種類、投与量、投与時刻
  • 食事の準備・摂取予定、悪心・嘔吐
  • 現在の血糖値、直前の低血糖
  • 腎機能
  • 食事摂取不良時の指示
Q2 食べられないので全部中止でよい?
  • 一律中止は不適切(基礎インスリンは空腹時の糖産生を抑える役割)
  • 病型によっては中止で高血糖・ケトアシドーシスの危険

第2段階|低血糖

超速効型インスリン投与後、朝食をほとんど摂れなかった。 1時間後、冷汗、手指振戦、反応の鈍さ。 血糖48mg/dL。
Q3 何が起きている?
  • 低血糖(摂取不足+インスリン作用)
Q4 最初に評価すること
  • 意識、嚥下可能性(誤嚥の危険)
  • 呼吸・循環
  • 血糖、投与したインスリンの種類・時刻
Q5 初期対応(基本)
  • 意識あり・嚥下可能:ブドウ糖摂取 → 再測定
  • 意識障害/嚥下困難:無理に飲ませない → 緊急対応へ

第3段階|腎機能低下時の薬剤評価

内服:ビグアナイド、SGLT2阻害、DPP-4阻害も処方。 悪心と食事・水分摂取低下が続く。
Q6 再評価の視点
  • eGFRによる禁忌/用量調整
  • 脱水・急性腎障害
  • 低血糖リスク
  • 乳酸アシドーシス、ケトアシドーシスのリスク
  • Sick dayの指示、最終内服時刻
目標:学生が中止を決めるのではなく、危険になり得る点を整理して報告する。

症例ワークシート(記入用)

1 観察(事実)
  • 血糖:____ 食事:摂れる/摂れない(理由:____)
  • インスリン:種類____ 量____単位 投与時刻____
  • 意識:____ 嚥下:可/不可
  • 嘔吐・下痢:あり/なし 水分摂取:____
  • 腎機能(eGFR/Cr):____
2 判断
  • 低血糖リスクが高い理由:____
  • 腎機能低下で再評価が必要な理由:____
3 報告(SBAR)
  • S:____
  • B:____
  • A:____
  • R:____

小テスト(例)

  1. 低血糖で最初に確認することは何か(1つ)
  1. α-GI服用中の低血糖では何を使う?
  1. 「食べないからインスリンを全部中止」が危険な理由を1つ。
  1. eGFR低下時に薬剤評価が必要な理由を1つ。