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QT延長と抗不整脈薬(Torsades de Pointes)
症例
55歳女性。
心房細動に対してソタロール(Ⅲ群抗不整脈薬)を開始された。
開始5日後、突然の意識消失発作を起こして倒れた。
心電図モニターで多形性心室頻拍(Torsades de Pointes:TdP)が記録され、
直前の心電図ではQTc 560 ms(基準値 <440 ms)に延長していた。
この患者に起きた多形性心室頻拍の原因として最も考えられるものはどれか。
ソタロールによるQT延長からTorsades de Pointesが誘発された
Ⅲ群抗不整脈薬はKチャネルを遮断し、再分極を遅延させることで活動電位持続時間を延長させる。
Kチャネル遮断
↓
再分極の遅延
↓
QT間隔の延長
↓
早期後脱分極(EAD)の発生
↓
Torsades de Pointes(TdP)の誘発
TdPは致死的な多形性心室頻拍であり、QT延長はその最大のリスク因子である。
Ⅲ群薬(ソタロール、アミオダロン、ニフェカラントなど)はいずれもQT延長のリスクがある。
心房細動の悪化
心房細動は上室性の不整脈であり、多形性心室頻拍とは異なる。今回の不整脈は薬剤によるQT延長が原因である。
ソタロールのβ遮断作用による徐脈
ソタロールはβ遮断作用も持つが、今回の問題はⅢ群作用(Kチャネル遮断)によるQT延長であり、β遮断作用による徐脈とは機序が異なる。
精神的ストレスによる不整脈
ストレスで不整脈が誘発されることはあるが、QTc 560 msへの著明な延長とソタロール開始後のタイミングから、薬剤性が最も考えられる。
QT延長を引き起こす薬剤には他にどのようなものがありますか?
- Ⅲ群抗不整脈薬:ソタロール、アミオダロン、ニフェカラント
- Ⅰa群抗不整脈薬:キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド
- 抗精神病薬:ハロペリドール、クエチアピン
- 抗菌薬:マクロライド系(エリスロマイシン)、ニューキノロン系
- 抗真菌薬:フルコナゾール
- 低カリウム血症・低マグネシウム血症もリスク因子
- 看護師は心電図モニタリングと電解質チェックに注意する