メトトレキサートと骨髄抑制・口内炎
症例
55歳女性。
乳がんの化学療法のため メトトレキサート(MTX)の
投与を受けている。
投与後1週間で口内炎がひどく食事がとれない状態になり、
血液検査で白血球・血小板が著しく低下していた。
この原因として最も考えられるものはどれか。
メトトレキサートによる骨髄抑制と粘膜障害
メトトレキサートは葉酸代謝を阻害し、DNA合成を抑制する抗がん剤である。
がん細胞だけでなく、増殖が速い正常細胞にも影響する。
そのため
メトトレキサート投与
↓
葉酸代謝が阻害され、DNA合成が抑制される
↓
増殖の速い細胞がダメージを受ける
↓
① 骨髄の造血細胞 → 骨髄抑制(白血球↓・血小板↓)
② 口腔粘膜の細胞 → 口内炎
③ 消化管粘膜 → 下痢・嘔気
※ ロイコボリン(活性型葉酸)救援療法で正常細胞を保護する。
※ 骨髄抑制のナディア(最低値)は通常投与後7〜14日。
感染症による口内炎
感染症で口内炎は起こりうるが、白血球・血小板の著明な低下を同時に説明できるのはメトトレキサートの骨髄抑制である。
ビタミンB12欠乏
ビタミンB12欠乏で血球減少は起こりうるが、化学療法後1週間という急性の経過と口内炎の合併から、メトトレキサートの副作用が最も考えられる。
がんの進行による貧血
がんの進行で貧血は起こりうるが、投与後1週間で急速に白血球・血小板が低下したのは薬の骨髄抑制であり、がんの進行では通常このような急性の変化は起こらない。
抗がん剤による骨髄抑制時に看護師が注意すべきことは?
- 白血球減少(好中球減少)→ 感染予防(手洗い・マスク・面会制限)
- 血小板減少 → 出血予防(打撲を避ける・歯磨きは柔らかいブラシで)
- 貧血 → 転倒予防・安静
- 口内炎 → 含嗽・軟らかい食事・疼痛管理
- ナディア(骨髄抑制の最低値)は薬剤により異なるが、多くは投与後7〜14日