乳糖で即時反応を認めた牛乳アレルギーの1例

前田 晶子, 平田 量子, 橋本 総子, 松本 和徳, 乳糖で即時反応を認めた牛乳アレルギーの1例, 日本小児アレルギー学会誌, 2020, 34 巻, 3 号, p. 370-375, 公開日 2020/08/20, Online ISSN 1882-2738, Print ISSN 0914-2649, https://doi.org/10.3388/jspaci.34.370, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci/34/3/34_370/_article/-char/ja, 抄録: 乳糖には微量の乳タンパクが含まれているが,牛乳アレルギー児において加工食品中の乳糖で即時反応を認めることは稀である.今回,中華スープの素に含まれる乳糖による即時反応を疑い,医薬品用乳糖の経口負荷試験で陽性となった牛乳アレルギー児の一例を経験したので報告する.症例は1歳女児.生後8か月時に微量のヨーグルトを摂取し,全身蕁麻疹を認めた.血液検査で牛乳特異的IgEが高値であり,牛乳アレルギーの診断で牛乳・乳製品は完全除去と指導していた.保育園で給食摂取後に蕁麻疹,嗄声を認めて救急受診された.給食で初めて摂取した中華スープの素に乳糖が含まれており,後日医薬品用乳糖を用いて経口負荷試験を行い陽性と判断した.乳糖で即時反応を経験することは稀であるため,牛乳アレルギー児全例に乳糖除去の指導する意義は低いと考えるが,乳糖に対する誘発症状を疑った場合は,経口負荷試験で確認することは重要である.また,陽性となった場合には,乳糖を含有する食品や医薬品について,患者家族や周囲に指導を行う必要がある.
 
P:Population 誰を対象に
 
E:Exposure 何をしたら(曝露)
 
C:Comparison 何と比べて(比較)
 
O:Outcome どうなる?(アウトカム)
 
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