💊
ジゴキシン中毒と低カリウム血症
症例
78歳女性。
心房細動に対してジゴキシンを服用中。
数日前から嘔気・食欲不振があり、
本日「物が黄色く見える」と訴えた。
心電図で徐脈(HR 42/分)とST部分の盆状低下を認めた。
血液検査で血清K値 2.8 mEq/L(基準値 3.5〜5.0)であった。
この患者の症状の原因として最も考えられるものはどれか。
低カリウム血症によるジゴキシン中毒
ジゴキシンはNa⁺/K⁺-ATPase(ナトリウムポンプ)を阻害して作用する。
カリウムはこのポンプの結合部位でジゴキシンと競合している。
低カリウム血症
↓
K⁺とジゴキシンの競合が減少
↓
ジゴキシンのNa⁺/K⁺-ATPaseへの結合が増加
↓
ジゴキシンの作用が増強
↓
中毒症状の出現
ジゴキシン中毒の典型症状:
- 消化器症状:嘔気・嘔吐・食欲不振
- 視覚異常:黄視症(物が黄色く見える)
- 不整脈:徐脈、房室ブロック、心室性不整脈
ジゴキシンの過量投与
用量変更がなくても、低カリウム血症があればジゴキシンの作用が増強され中毒が起こりうる。血清ジゴキシン濃度が治療域内でも中毒は発生する。
高カリウム血症
検査値はK 2.8 mEq/Lであり低カリウム血症である。高カリウム血症ではむしろジゴキシンの作用は減弱する。
白内障の進行
白内障では「かすんで見える」症状が出るが、「黄色く見える(黄視症)」はジゴキシン中毒に特徴的な症状である。
ジゴキシン服用中の患者で看護師が注意すべき点は何ですか?
- 投与前に脈拍を測定:60回/分未満なら投与を保留し医師に報告
- 血清カリウム値のモニタリング:利尿薬(フロセミドなど)併用時は特に注意
- ジゴキシンの治療域が狭い(TDMが必要)
- 中毒時の拮抗薬:ジゴキシン特異抗体(ジギバインド®)
- 嘔気・視覚変化・徐脈の訴えを見逃さない