てんかんと女性

 
重要なポイント: リスクの少ない妊娠・出産を実現するため、可能な限り、計画的な妊娠・出産を勧める

抗てんかん薬 (AED) のリスク

催奇形性リスク

頻度:
  • 妊娠中に AED を服用している女性から出生した児の奇形発現頻度:4〜10%
  • 一般人口の場合:2〜5%(ベースラインリスク)
非妊娠時に服用した AED の影響の残留:なし
男性患者の服用:胎児への影響はほとんどない
奇形の種類:
  • 口唇・口蓋裂
  • 心奇形
  • バルプロ酸・カルバマゼピン:二分脊椎との関連?
リスク因子:
  • 薬剤の種類:薬剤の種類によってリスクは異なる
    • 他剤より奇形発現率が高い:バルプロ酸
    • 奇形発現率がやや高い:フェニトインフェノバルビタールトピラマート
  • 併用:単剤服用よりも、多剤併用でリスクは高くなる
    • 併用によって催奇形性リスクが高まる:バルプロ酸、フェニトイン、フェノバルビタール
  • 用量:高用量ではリスクは高くなる
 
妊娠・出産時における抗てんかん薬の留意点 ①単剤投与 ②投与量は必要最低限にする ③できるだけ催奇形性の少ない AED を選択する ④妊娠期間中の AED の血中濃度の変動に注意する
葉酸:推奨(神経管閉鎖障害の発生リスクを軽減、AED による児の IQ への影響を軽減する)
  • バルプロ酸・カルバマゼピン使用時(二分脊椎との関連が報告):
    • 妊娠前から葉酸 5mg/日の摂取を推奨
  • その他の抗てんかん薬使用時:
    • 通常通り、妊娠前からの葉酸 0.4mg/日の摂取を推奨
 

認知機能障害発現リスク

 

経口避妊薬との相互作用

計画的な妊娠のために、抗てんかん薬服用中に、経口避妊薬を使用する場合もあるが、相互作用に注意が必要である。
経口避妊薬の効果を低下させる経口避妊薬には影響しない
AEDカルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン クロバザム ラモトリギン トピラマートバルプロ酸 エトスクシミド ガバペンチン ラコサミド レベチラセタム ビガバトリン ゾニサミド
クロナゼパム ジアゼパム ロラゼパム
プレガバリン
発作抑制薬と経口避妊薬の相互作用 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/35055403/

参考資料

てんかん診療ガイドライン2018
第13章 てんかんと女性