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The EMPA-KIDNEY Collaborative Group; N Engl J Med (2023) [PMID: 36331190]

AI まとめ
この論文は、慢性腎臓病(CKD)患者におけるエンパグリフロジン(SGLT2阻害剤)の効果に関する国際的なランダム化比較試験(EMPA-KIDNEY試験)の結果を報告しています。CKD患者の進行を遅らせるために、エンパグリフロジンの効果と安全性を広範囲な患者群で評価しています。
試験の概要:
  • 参加者: CKD患者6609人(糖尿病の有無にかかわらず)。腎機能(推定糸球体濾過率、eGFR)が低下しているか、アルブミン尿症(尿中アルブミン/クレアチニン比)が高い患者を対象。
  • 方法: ランダム化により、エンパグリフロジン(1日10mg)またはプラセボを服用。
結果:
  • 主要評価項目(腎疾患の進行や心血管原因による死亡)は、エンパグリフロジン群で13.1%、プラセボ群で16.9%で発生し、エンパグリフロジンの方が有意にリスクが低かった(ハザード比0.72)。
  • エンパグリフロジン群では、全原因による入院率も低かったが、心不全や心血管原因による死亡のリスクには有意差がなかった。
  • 安全性の面では、両群間で重篤な副作用の発生率に有意な差はなかった。
結論:
  • CKD患者において、エンパグリフロジンは腎疾患の進行や心血管原因による死亡リスクを低減させる可能性がある。
  • この試験は、CKDの進行を遅らせる治療戦略において、エンパグリフロジンが有効な選択肢であることを示唆している。
この研究は、糖尿病の有無にかかわらず、複数の腎機能レベルを持つ慢性腎臓病患者におけるSGLT2阻害剤の効果を広範囲に調査したものです。エンパグリフロジンによる腎臓病の進行リスク低減の可能性を示し、CKD患者の治療選択肢としての重要性を強調しています。