急性膵炎で入院:上腹部痛と脂肪食(蛋白分解酵素阻害薬と観察)
導入の問い
この患者さんの体の中で「何が起きていそう」?(痛みの場所・強さ・広がり方から考える)
すい臓(膵臓)が炎症を起こして、強い痛みが出ている
A. すい臓(膵臓)が炎症を起こして、強い痛みが出ている
みぞおちの強い痛みが「背中まで」広がるのは、急性膵炎でよくみられる痛みのパターン。脂っこい食事や飲酒もきっかけになりやすい。
腸の動きの問題(便秘や過敏性腸症候群など)でお腹が痛い
B. 腸の動きの問題(便秘や過敏性腸症候群など)でお腹が痛い
IBSなどは「急に・すごく痛い」より、くり返す腹痛や便通の変化が中心。今回の痛みの強さ・背中への痛みは説明しにくい。
かぜで体がだるく、胃もムカムカしている
C. かぜで体がだるく、胃もムカムカしている
かぜだけで「みぞおちがすごく痛い」「背中まで痛い」は起こりにくい。重い病気を先に疑って確認する。
食べ過ぎで胃がもたれているだけ
D. 食べ過ぎで胃がもたれているだけ
食べ過ぎでも不快感は出るが、「強い痛み+背中まで」は要注意。自己判断で終わらせない。
症例)
患者:45歳。男性。
主訴:「みぞおちがすごく痛い。背中まで痛い。吐き気がする」
背景:昨夜、脂っこい食事+飲酒。今朝から痛みが増悪。

この症例は「024 膵臓疾患」で、急性膵炎を疑うポイントと、治療(例:蛋白分解酵素阻害薬など)の位置づけ、看護での観察・重症化サインを整理するためのケース。
Q1(まず疑う)
この患者でまず疑うべき状態として最も適切なのはどれ?
急性膵炎
A. 急性膵炎
上腹部痛が強く、背部へ放散し、悪心を伴う点は急性膵炎を疑う。脂っこい食事や飲酒などの誘因も一致しやすい。
過敏性腸症候群(IBS)
B. 過敏性腸症候群(IBS)
慢性反復の腹痛+便通異常が中心で、今回の“急激で強い上腹部痛”とは合いにくい。
感冒
C. 感冒
上腹部の激痛を説明できない。発熱のみでは判断しない。
単なる食べ過ぎ
D. 単なる食べ過ぎ
痛みの強さと放散痛が強い。重症疾患の除外を優先。
Q2(原因の手がかり)
急性膵炎の原因として、まず確認したいのはどれ?
飲酒歴と胆石リスク(胆道系)
A. 飲酒歴と胆石リスク(胆道系)
急性膵炎の原因は胆石・アルコールが代表的。まずこの2本柱の情報を押さえる。
睡眠時間
B. 睡眠時間
全身状態として重要だが、原因推定としての優先度は低い。
好きな食べ物
C. 好きな食べ物
食事内容は参考になるが、原因の代表(胆石・アルコール)に比べ優先度は低い。
肩こりの有無
D. 肩こりの有無
関連が弱い。
Q3(治療の考え方)
急性膵炎の治療で「まず優先される」考え方として最も適切なのはどれ?
絶食+補液+疼痛コントロールを基本に、重症度を評価する
A. 絶食+補液+疼痛コントロールを基本に、重症度を評価する
急性膵炎は全身状態が急変しうる。まずは循環・疼痛・炎症を支え、重症化(ショック、呼吸不全など)を見逃さない。
まず下剤で便を出す
B. まず下剤で便を出す
膵炎の治療として優先されない。
まず胃粘膜防護薬のみで様子を見る
C. まず胃粘膜防護薬のみで様子を見る
上腹部痛の鑑別は広いが、膵炎が疑われる状況では評価と全身管理が必要。
痛みが強いほど食事を摂って体力をつける
D. 痛みが強いほど食事を摂って体力をつける
膵臓の刺激になるため、基本は絶食で膵を休ませる。
対応の例(考え方)
- 強い上腹部痛+背部痛+悪心では急性膵炎を疑い、早めに検査(血液・画像)へ
- 治療の基本は絶食、補液、疼痛コントロール、原因(胆石/アルコールなど)の評価
- 蛋白分解酵素阻害薬などが用いられることがあるが、まずは全身管理と重症度評価が重要
観察事項(看護)
腹痛の程度(増悪/軽快)、嘔気・嘔吐、バイタル(発熱、血圧、SpO₂)、尿量(循環血液量の目安)、意識状態、腹部所見(膨満・圧痛)、水分出納
患者指導(例)
- 飲酒は再発リスク。原因がアルコール関連なら断酒が重要
- 脂肪食で症状が誘発/増悪することがあるため、食事指導は医師/栄養士の方針に従う
- 強い腹痛、嘔吐、発熱、ふらつきがあれば早めに受診
確認問題例:
1) 急性膵炎を疑う症状の特徴は?
2) 原因としてまず確認する2大要因は?
3) 看護で優先する観察は?