💊
硝酸薬とPDE5阻害薬の併用禁忌
症例
58歳男性。
安定狭心症のため硝酸イソソルビド(硝酸薬)を
毎日服用している。
最近、泌尿器科で勃起障害(ED)の相談をし、
シルデナフィル(PDE5阻害薬)の処方を希望した。
泌尿器科医は処方を拒否した。
泌尿器科医がシルデナフィルの処方を拒否した理由として最も適切なものはどれか。
硝酸薬とPDE5阻害薬の併用で重篤な血圧低下を起こす危険があるため
硝酸薬もPDE5阻害薬も、いずれもcGMP経路を介して血管を拡張させる。
両者を併用するとcGMPが過度に蓄積し、致命的な低血圧を引き起こす。
硝酸薬 → NOを放出 → cGMP産生を促進
+
PDE5阻害薬 → cGMPの分解を阻害
硝酸薬+PDE5阻害薬
↓
cGMPが過剰に蓄積
↓
血管が過度に拡張
↓
重篤な低血圧・ショック
↓
最悪の場合、死亡
※ 硝酸薬とPDE5阻害薬の併用は絶対禁忌。
※ PDE5阻害薬:シルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル、バルデナフィル。
※ 硝酸薬使用後24時間以内のPDE5阻害薬使用も禁忌。
※ ニコランジル(K⁺チャネル開口薬+硝酸薬様作用)との併用も禁忌。
シルデナフィルが狭心症を悪化させるため
シルデナフィル自体は狭心症を悪化させるわけではない。問題は硝酸薬との薬物相互作用による重篤な低血圧である。硝酸薬を使用していない患者には処方可能な場合がある。
ED治療薬に年齢制限があるため
PDE5阻害薬に年齢制限はない。処方拒否の理由は硝酸薬との併用禁忌であり、年齢ではない。
心疾患患者には性行為自体が禁忌であるため
安定した心疾患患者では性行為は必ずしも禁忌ではない。問題は薬物相互作用であり、硝酸薬以外の狭心症治療薬を使用している場合は処方可能なことがある。
看護師が知っておくべき硝酸薬の重要な相互作用・注意点は?
【絶対禁忌の併用】
- PDE5阻害薬(シルデナフィル・タダラフィル・バルデナフィル)
- リオシグアト(可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬)
→ いずれもcGMP経路の過剰活性化で致死的低血圧
【看護師の確認ポイント】
- 入院時の持参薬確認でPDE5阻害薬の使用歴を聴取する
- 患者が恥ずかしさから申告しないことがあるため、丁寧に聴取
- 救急搬送時、胸痛患者に硝酸薬を投与する前にPDE5阻害薬の服用歴を確認
- 24時間以内にPDE5阻害薬を使用していれば硝酸薬は投与禁忌
- 市販の栄養ドリンク・サプリメントにもNO系成分が含まれることがあり注意