線溶薬

線溶薬(血栓溶解薬)

① 薬効群の概要

  • 血栓の主成分であるフィブリンを分解し、形成された血栓を溶解する薬。
  • プラスミノーゲンをプラスミンに活性化し、プラスミンがフィブリンを分解する。
  • 急性期脳梗塞、急性心筋梗塞、肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症などに用いられるが、適応は製剤ごとに異なる。
  • 抗凝固薬が「血栓を作らせない・大きくしない」薬であるのに対し、線溶薬は「できた血栓を溶かす」薬。

② 作用機序

  • プラスミノーゲン → プラスミン → フィブリン分解という線溶系を促進する。
  • t-PA製剤:フィブリンへの親和性を利用し、血栓部位でプラスミノーゲンを活性化する。
  • ウロキナーゼ:プラスミノーゲンを直接活性化してプラスミンを生成する。
  • 血栓を溶解する一方、生理的に止血に必要なフィブリンまで分解し、重篤な出血を起こすことがある。
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重要:線溶薬は、発症から投与までの時間と出血リスクの評価が極めて重要。投与前に頭蓋内出血や広範な梗塞を除外し、投与後は頭蓋内出血を含む全身の出血を観察する。

③ 代表薬

代表薬(一般名)先発品例特徴
ウロキナーゼウロナーゼプラスミノーゲンを直接活性化。脳血栓症、末梢動・静脈閉塞症、血管カテーテル内血栓など、製剤ごとに適応が異なる。
アルテプラーゼ(遺伝子組換え、rt-PA)アクチバシン、グルトパフィブリン親和性をもつt-PA製剤。急性期脳梗塞、急性心筋梗塞などに用いられる。
モンテプラーゼ(遺伝子組換え)クリアクター改変型t-PA製剤。血栓部位でプラスミノーゲンを活性化する。適応・用法は製剤ごとに確認する。

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 出血の観察:意識レベル低下、突然の頭痛、嘔吐、麻痺、瞳孔不同、痙攣、穿刺部位の出血、血尿、血便・黒色便、喀血、皮下出血。
  • バイタルサイン:血圧、脈拍、呼吸状態、SpO₂を継続的に確認する。過度な高血圧は頭蓋内出血リスクに関わる。
  • 検査値:血小板、PT-INR、APTT、フィブリノゲン、Hb・Htなどを確認する。
  • 投与前確認:発症時刻、画像検査、既往歴、最近の手術・外傷、抗凝固薬・抗血小板薬の使用、血圧、出血リスクを確認する。
  • 安静と穿刺管理:投与後は不要な穿刺・筋肉注射を避け、採血・穿刺部位は十分に圧迫止血する。
  • 血流再開後の変化:神経症状や胸痛、呼吸困難が改善するかを確認するとともに、再灌流に伴う出血や不整脈にも注意する。
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補足:線溶薬は薬剤ごとに、対象疾患、投与可能な発症時間、用量、禁忌、併用薬の扱いが異なる。実際の投与では、必ず使用する製剤の最新添付文書と施設プロトコルを確認する。