小児薬用量換算式

 
小児薬用量の算出には、年齢・体重・体表面積を用いた方法が複数考案されています。
中でも、Augsberger II 式von Harnack の換算表は、体表面積法で求めた小児薬用量と近似していると言われており、汎用されています。
 

小児薬用量換算式

体表面積を基準にして薬用量を計算する方法が、比較的有用とされています。
(体表面積は血液量を反映すると言われている)

Young の式

【注意】2歳以上の小児に適用する
Young の式
1813
Young の式では、年齢を基準にしています。患者年齢を式に代入して、計算します。
 

Clark の式

【注意】2歳以上の小児に適用する
Clark の式
1ポンド=0.453592kg(キログラム➗2.205で近似)
1837
Clark の式では、体重を基準にしています。患者体重を式に代入して、計算します。ただし、元の式では、体重はポンドで計算されているので、kg とポンドの換算が必要です。
 

Augsberger の式

【注意】満1歳以上の小児に適用する
Augsberger 式 (I)
Augsberger 式 (II)
Augsberger A. Old and new rules for dosage determination in paediatrics. Triangle. 1962 Jan;5:200-7. [PMID: 13863253].
Augsberger の式には、Ⅰ式とⅡ式の2種類があります。Ⅰ式は体重を、Ⅱ式は年齢を式に代入して計算します。体表面積から計算されている式であり、広く使われています。。
 

von Harnack の換算表

年・月 齢未熟児新生児3月6月1歳3歳7.5歳成人
小児の薬用量比1/101/81/61/51/41/32/31
‥Augsberger の計算式から求められた投与量の近似の整数値で作成された実用的な表
VON HARNACK GA. Eine einfache Methode zur Bestimmung der Arzneidosis bei Kindern [A simple method for determining doses for children]. Monatsschr Kinderheilkd (1902). 1956 Feb;104(2):55-6. German. [PMID: 13321802].
 

中山の表

年・月 齢3月6月1歳3歳6歳10歳11歳12歳成人
小児の薬用量比1/61/51/41/31/22/33/44/51
中山健太郎, “新小児医学体系6B”, 中山書店, 1985, p3-21.
1990年における日本人体位の推計基準値による体表面積から計算した小児薬用量
 

Crawford の式

Crawford の式
CRAWFORD JD, TERRY ME, ROURKE GM. Simplification of drug dosage calculation by application of the surface area principle. Pediatrics. 1950 May;5(5):783-90. [PMID: 15417279].
 

Lenart の式

Lenart の式
LENART G. Utmutató egyrészt gyermekek átlagsúlyának kiszámitásához, másrészt tartós cseppinfúziók adagolásához [Formula for determination of average weight of children and for dosage of drip infusions]. Orv Hetil. 1955 Mar 20;96(12):326-8. Polish. PMID: 13245180.?(原著は今探している。[2] で引用されていた)
 

Fried の式

Fried の式
 
 

体表面積の計算式

Du Bois 式

DuBois 式
DuBois D, DuBois EF. A formula to estimate the approximate surface area if height and weight be known. Arch Intern Med 1916;17:863-71. [PMID: 2520314]
‥抗悪性腫瘍薬の投与量計算には、DuBois 式を用いる(JCOG0501 以降の Study は、DuBois 式が用いられているため)
 

藤本式

藤本式(6歳以上)
藤本薫喜、渡辺孟、坂本淳、湯川幸一、森本和江:日本人の体表面積に関する研究 第18篇 三期にまとめた算出式.日衛誌23(5)、443-450、1968年 [DOI: 10.1265/jjh.23.443]
‥日本人で求められた計算式。書籍等では、上記の式をよく見るが、年齢に応じて式を使い分ける。(原著には、下記の通り、年齢層別の計算式が提唱されている)
藤本式:乳児期(0歳台)
藤本式:幼児期(1〜5歳台)
藤本式:6歳以上老人まで
 
小児薬用量に関する参考資料
[1]
1992年時点の小児の体格から、計算式の有用性を評価した。計算式が考えられた当時(昭和23年)は計算式と一致していたが、昭和63年時点では、当時と比べて小児の体格が大きくなっていることから、計算式で算出した小児薬用量は、実際に必要な薬用量よりも少なく算出される場合があると考えられた。
 
[2]
 
[3]
年齢や体重、体表面積による換算では、年齢による代謝機能や腎機能、肝機能の変化が考慮されていない。クリアランスの変化を推定した薬用量の推定法が検討されている。
 
 

小児の定義

医療法施行規則
医療法施行規則第十六条第一項第四号に規定する「小児」とは通常小児科において診療を受ける者をいうのであって、具体的に何歳から何歳までと限定することは困難である。
医療法施行規則第十六条に関する疑義について (昭和三十一年五月二十一日 医収第一八六○号) (長野県知事あて厚生省医務局長回答)
児童福祉法第四条
乳児満一歳に満たない者
幼児満一歳から小学校就学期に達するもの
児童小学校入学期から満十八歳までのもの
旅客及び荷物運送規則第九条
乳児一歳未満
幼児一歳から六歳未満
小児六歳から十二歳未満
医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項
(5) 「9.7 小児等」の記載に当たって、新生児、乳児、幼児又は小児とはおおよそ以下を目安とする。ただし、具体的な年齢が明確な場合は「○歳未満」、「○歳以上、○歳未満」等と併記すること。なお、これ以外の年齢や体重による区分を用いても差し支えないこと。 ①新生児とは、出生後4週未満の児とする。 ②乳児とは、生後4週以上、1歳未満の児とする。 ③幼児とは、1歳以上、7歳未満の児とする。 ④小児とは、7歳以上、15歳未満の児とする。
FDA
「小児」22 歳の誕生日前日まで 新生児(Neonates:1 ヶ月未満)、幼児 (Infants:2 歳未満)、小児(Children:12 歳未満)、青年(Adolescents:22 歳未満)
低出生体重児
低出生体重児保健指導マニュアル(URL)
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