ドキソルビシンと心毒性(累積投与量)

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症例
48歳女性。
悪性リンパ腫の治療のため
ドキソルビシン(アントラサイクリン系)を含む化学療法を
数コース受けてきた。
最近、息切れ・動悸・下肢の浮腫が出現し、
心臓超音波検査で左室駆出率(EF)の低下が認められた。
この原因として最も考えられるものはどれか。
ドキソルビシンの累積投与量による心毒性
ドキソルビシン(アントラサイクリン系)は心筋細胞にフリーラジカルを生成し、
心筋を障害する。この心毒性は累積投与量に依存する。
 
そのため
ドキソルビシンを繰り返し投与 ↓ 累積投与量が増加 ↓ 心筋細胞にフリーラジカルが蓄積 ↓ 心筋障害(不可逆的) ↓ 心不全
息切れ・動悸・下肢浮腫・EF低下
 
累積投与量の上限(ドキソルビシン:500mg/m²)を超えないよう管理する。
※ 投与前・投与中に定期的に心機能検査(心エコー)を行う。
※ 心毒性は不可逆的であり、早期発見が重要。
がんの心臓転移
悪性リンパ腫が心臓に浸潤することはまれにあるが、ドキソルビシンの累積投与後という経過から、薬の心毒性が最も考えられる。
貧血による心負荷
化学療法後の貧血で心負荷は起こりうるが、EFの低下は心筋自体の障害を示しており、ドキソルビシンの心毒性が最も考えられる。
ストレス性心筋症(たこつぼ心筋症)
ストレス性心筋症の可能性も否定はできないが、アントラサイクリン系の累積投与後という経過から、薬剤性心毒性が最も考えられる。
抗がん剤で臓器特異的な毒性を持つものにはどのようなものがありますか?
  • ドキソルビシン(アントラサイクリン系)→ 心毒性(累積投与量依存)
  • シスプラチン腎毒性・聴覚障害
  • ブレオマイシン肺毒性(間質性肺炎・肺線維症)
  • ビンクリスチン神経毒性(末梢神経障害)
  • シクロホスファミド出血性膀胱炎
  • いずれも投与前・投与中の臓器機能モニタリングが重要