11 対面授業(脳神経系:意識・運動・発作をみる)

90分の流れ(今日やること)

時間内容ゴール
0〜5分事前学習確認神経伝達の「型」から薬と症状をつなげる
5〜15分脳卒中(急性期・再発予防)「発症時刻」と出血リスクを説明できる
15〜24分てんかん(抗発作薬)発作中/後の観察と重積の判断ができる
24〜31分Parkinson病on–off / wearing-off を記録できる
31〜40分認知症・頭痛・神経筋目的と重要副作用を押さえる
40〜55分整理演習(症状×病態×薬)緊急性→確認→報告の型で書ける
55〜85分3症例(演習)観察→判断→報告を練習する
85〜90分小テスト今日の型を確認する

到達目標(対面)

  1. 急性脳卒中で発症時刻が重要な理由を説明できる
  1. けいれん発作中・発作後の観察項目を説明できる
  1. 抗発作薬を急に中止する危険性を説明できる
  1. Parkinson病薬とon–off、wearing-offを結び付けられる
  1. 認知症薬・頭痛薬の目的と重要副作用を説明できる

0〜5分|事前学習確認(口頭チェック)

  1. 興奮性伝達物質の代表は? 抑制性の代表は?
  1. Parkinson病で不足する方向の伝達物質は?
  1. 薬が神経伝達を変える方法を1つ。

5〜15分|脳卒中(急性期・再発予防)

最初に集める情報(“いつから”)

  • 最終健常確認時刻(Last known well)
  • 発見時刻
  • 意識、麻痺、構音/言語、視野
  • 血圧、血糖
  • 抗凝固薬/抗血小板薬、最近の手術・出血、頭部外傷
低血糖でも麻痺や意識障害のように見えることがある → 血糖確認が必要。

治療方向(ざっくり)

  • 急性脳梗塞:血栓溶解療法、血栓回収など
  • 再発予防:非心原性→抗血小板、心房細動→抗凝固
  • 脳出血:血圧管理、抗凝固作用の是正 など
注意:脳梗塞か脳出血かは症状だけで確定できない。画像前に決めつけない。

15〜24分|てんかん(抗発作薬)

発作中の対応(安全+観察)

  • 開始/終了時刻
  • 周囲の危険物を除く、頭部保護
  • 無理に押さえつけない/口に物を入れない
  • 呼吸、チアノーゼ、SpO₂
  • 眼球・頭部偏倚、四肢の動き
5分以上持続、または意識回復しないまま反復 → てんかん重積を考えて緊急対応。

発作後に確認

  • 意識回復、呼吸・SpO₂
  • 麻痺・言語障害(脳卒中も鑑別)
  • 外傷、舌咬傷、尿失禁
  • 血糖
  • 服薬状況、誘因(睡眠不足/飲酒/感染など)

24〜31分|Parkinson病(on–off/wearing-off)

  • wearing-off:次の服薬前に症状が悪化
  • on–off:服薬時刻だけでは説明できない急な変動
記録する(これが看護の力)
  • 服薬時刻、食事時刻
  • 動けた/動けない時刻
  • ジスキネジア
  • 起立性低血圧、幻覚

31〜40分|認知症・頭痛・神経筋(要点)

認知症薬

  • コリンエステラーゼ阻害:悪心/下痢、食欲低下、徐脈、失神
  • NMDA拮抗:めまい、傾眠、便秘
  • 抗Aβ抗体:ARIA(頭痛、意識・神経症状)、MRI管理

頭痛

  • 警告徴候(突然の激しい頭痛、意識障害、麻痺、発熱・項部硬直、外傷後 など)は緊急評価
  • 片頭痛:発作時治療と予防療法を区別/薬剤使用過多に注意

40〜55分|整理演習(症状×病態×緊急性)

症状カード(例):片麻痺/けいれん/動作緩慢/ジスキネジア/徐脈/突然の激しい頭痛/筋力低下/意識障害
  1. どの病態・薬に関連する?
  1. 緊急性はある?
  1. 追加で何を確認する?
  1. 何を報告する?

55〜85分|症例演習(3症例)

症例1:けいれん発作後

72歳男性。右上肢から始まるけいれんが全身に広がった。約2分で停止。 現在は眠っており反応が乏しい。
  • 確認:発作時刻、意識回復、呼吸/SpO₂、麻痺・言語、血糖、外傷、服薬
  • 注意:発作後傾眠だけと決めつけず、低血糖/脳卒中/頭蓋内出血などを除外

症例2:Parkinson病のoff

76歳女性。昼食後に立ち上がれず「足が床にくっついたよう」。 服薬予定から1時間以上遅れ。
  • 確認:最終服用、食事、普段のパターン、血圧低下、急な麻痺、嚥下
  • 注意:「Parkinson病だから」で決めつけない(脳卒中、低血圧、感染など)

症例3:急性脳梗塞疑い

68歳男性。7時は会話できた。8時10分に右麻痺と言葉の出にくさ。 血圧186/104。心房細動で抗凝固薬内服。
  • 最優先:最終健常確認、発見時刻、抗凝固薬名と最終服用、血糖、最近の出血/手術/外傷

症例ワークシート(記入用)

1 観察(事実)
  • いつから(最終健常/発見/開始-終了時刻):____
  • 意識:____ 呼吸/SpO₂:____
  • 神経症状(麻痺/言語/偏倚など):____
  • 血糖:____
  • 内服(抗血栓薬/抗発作薬/Parkinson薬):____
  • 外傷:あり/なし
2 判断
  • 緊急性:高い/中/低(根拠:____)
  • まず除外したい危険:____
3 報告(SBAR)
  • S:____
  • B:____
  • A:____
  • R:____

小テスト(例)

  1. 急性脳卒中で最優先の時間情報は何か
  1. けいれんが5分以上続くとき考える状態は?
  1. Parkinson病のoffで記録したい時刻情報を1つ。
  1. 頭痛の警告徴候を1つ。