抗血小板薬2剤併用(DAPT)と出血リスク
症例
68歳男性。
急性冠症候群で冠動脈ステント留置術を受けた。
退院後、アスピリン+クロピドグレルの
2剤併用抗血小板療法(DAPT)が処方された。
3か月後、歯科治療を受けたいが
出血が心配だと相談があった。
この患者への指導として最も適切なものはどれか。
自己判断で中止せず、主治医と歯科医に相談する
ステント留置後の抗血小板薬を自己判断で中止すると、
ステント内血栓症という致命的な合併症が起こりうる。
そのため
抗血小板薬を自己判断で中止
↓
ステント内の血小板が凝集
↓
ステント内血栓症
↓
急性心筋梗塞・突然死のリスク
DAPTの意義:
- アスピリン:COX-1阻害 → TXA2産生抑制 → 血小板凝集抑制
- クロピドグレル:ADP受容体(P2Y12)阻害 → 血小板凝集抑制
- 2剤で異なる経路から血小板凝集を抑制する
※ 歯科治療は主治医と歯科医の連携のもとで行う。
※ 多くの歯科処置は抗血小板薬を継続したまま実施可能。
※ 大きな手術では一時的な休薬を検討するが、必ず医師の判断で行う。
歯科治療の前日にアスピリンとクロピドグレルを中止する
自己判断で中止してはいけない。ステント内血栓症のリスクがあり、致命的な結果になりうる。休薬の判断は必ず医師が行う。
歯科治療は抗血小板薬の服用が終わるまで延期する
DAPTの期間は通常6〜12か月だが、その間に歯科治療が必要になることは十分ありうる。多くの歯科処置は抗血小板薬を継続したまま安全に実施可能である。
クロピドグレルのみ中止し、アスピリンは継続する
自己判断での薬の変更は危険である。休薬・減薬はステント留置後の期間やステントの種類を考慮して医師が判断する。
抗血栓薬服用中の患者に看護師が指導すべきことは?
- 自己判断で中止しない(血栓症のリスク)
- 出血しやすいことを理解してもらう(打撲に注意・歯磨きは柔らかいブラシで)
- 他科受診時・手術時に必ず服用薬を伝える
- 異常な出血(止まらない鼻血・黒色便・血尿など)があれば受診
- お薬手帳を常に携帯する