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異型狭心症とCa拮抗薬(β遮断薬の禁忌)
症例
50歳男性。
夜間から早朝にかけて安静時に胸痛発作が繰り返し出現した。
心電図で発作時にST上昇を認めたが、冠動脈造影では
有意な狭窄は認められなかった。
冠攣縮性狭心症(異型狭心症)と診断された。
前医で処方されていたプロプラノロール(β遮断薬)を
服用していたが、発作が悪化していた。
この患者の治療として最も適切なものはどれか。
β遮断薬を中止し、Ca拮抗薬(ジルチアゼム等)と硝酸薬を開始する
冠攣縮性狭心症は冠動脈の攣縮(スパスム)により心筋虚血が起こる。
安静時(特に夜間〜早朝)に発作が起こるのが特徴である。
【異型狭心症の病態と治療】
冠動脈が攣縮(スパスム)
↓
冠血流が一時的に途絶
↓
心筋虚血 → ST上昇 → 胸痛発作
Ca拮抗薬(第一選択):
- ジルチアゼム・ニフェジピン・ベニジピン
- 冠動脈平滑筋のCa²⁺流入を阻害 → 攣縮を予防
硝酸薬(併用):
- ニトログリセリン・硝酸イソソルビド
- NO放出 → cGMP↑ → 冠動脈拡張
β遮断薬は異型狭心症には禁忌的:
- β₂受容体遮断 → 冠動脈の攣縮を悪化させる
- α受容体の相対的優位 → 冠動脈収縮を助長
β遮断薬を増量する
冠攣縮性狭心症ではβ遮断薬は攣縮を悪化させる。増量するとさらに発作が増悪する危険がある。β遮断薬は労作性狭心症に有効である。
抗血小板薬(アスピリン)のみで治療する
アスピリンは併用されることがあるが、冠攣縮を防ぐ効果はない。冠攣縮性狭心症の根本治療にはCa拮抗薬と硝酸薬が必要である。
冠動脈に狭窄がないので経過観察のみ
冠動脈造影で狭窄がなくても、冠攣縮による心筋虚血は危険であり、重症の場合は心筋梗塞や致死性不整脈に至ることがある。適切な薬物治療が必要。
狭心症の種類ごとの治療薬の使い分けは?
【労作性狭心症】
- 原因:冠動脈の器質的狭窄
- β遮断薬(第一選択):心拍数↓・心筋酸素需要↓
- 硝酸薬:前負荷軽減+冠動脈拡張
- Ca拮抗薬:冠動脈拡張+後負荷軽減
- β遮断薬が使用できない場合はCa拮抗薬で代用
【冠攣縮性狭心症(異型狭心症)】
- 原因:冠動脈の攣縮
- Ca拮抗薬(第一選択):攣縮を予防
- 硝酸薬:発作時の治療+予防
- β遮断薬は原則禁忌(攣縮を悪化)
- 喫煙・飲酒が誘因 → 禁煙指導が重要
【不安定狭心症】
- 急性冠症候群(ACS)の一つ。緊急対応が必要
- 硝酸薬+ヘパリン+抗血小板薬(DAPT)+β遮断薬
- 早期の冠動脈インターベンション(PCI)を検討