ネブライザーで使用可能な薬剤
吸入液によっては、使えるネブライザーの種類が限られると聞きました。
A:
ジェット式は、ほとんどの吸入用薬剤が使用可能です。
メッシュ式・超音波式では、一部、使用できない薬剤があります。
薬剤のほか、静音性など、選ぶ時の比較条件があります。
医師の指示に基づいて、適切なものをお使いください。
はじめに
ネブライザーとは、薬液を霧状にする機械で、霧状の薬液を呼吸と一緒に気管支や肺に薬を届けることができます。気管支喘息などの治療で用いられます。
医師の指示のもとで、家庭で吸入することもあります。
ネブライザー
ネブライザーの種類
霧状にするための仕組みは、3種類に大別できます。
ジェット式
圧縮空気を使って、薬液を霧状にする
圧縮空気を使うため、動作音が大きいのがデメリットではありますが、使用できる薬の種類は幅広いのがメリットです。
メッシュ式
振動などによって薬液をメッシュの穴から押し出して、霧状にする
機器がコンパクトであるため、持ち運びがしやすく、動作音も静かという特徴があります。
使用できる薬の種類には、制限があります。
超音波式
超音波振動を利用して、薬液を霧状にする
機器が大型ですが、パワーが強く長時間使用することができます。
デメリットとしては、(1) 振動子が動くことに伴い熱が発生するため、熱に弱い薬剤は使えないこと、(2) 懸濁液には使えないことがあります。
使用できる薬の種類に制限があります。
吸入方法
口から、または、鼻から吸入します。
マスク・マウスピース・ノーズピースを使用する吸入方法があります。
マスク
マウスピース
ノーズピース
ネブライザーで使用できる薬の種類
吸入液
以下に、「吸入薬」という名称の医療用医薬品を挙げている。実際には、ネブライザー専用の製剤は少ないため、抗菌薬などでは注射剤を吸入することも行われている。
(「吸入液」という名称のうち、気管支喘息等のために、家庭でネブライザー療法がよく行われるものに、グレーの色をつけている)
ブデソニド
副腎皮質ステロイド薬は、いずれも脂溶性が高く、水に溶解させるのが困難であるため、吸入用液剤が開発されていなかった中、ブデソニドは吸入用懸濁剤が開発された。ただし、懸濁液は超音波式ネブライザーでは使用できない(液のみが霧化され薬剤が残る)ため、添付文書では、「本剤を吸入する際には、ジェット式ネブライザーを使用すること」とされている。
メッシュ式ネブライザーが使用できるかについては、知見が限られていたが、いくつかの研究で、使用可能であると考えられている。
吸入液の配合変化
【気道粘液溶解薬】 アセチルシステイン (ムコフィリン(R)) | 223 | 配合変化が多いため、単剤 |
吸入薬の配合変化。左端の薬剤の添付文書に記載されていた内容を、右に向かって記載している。 ( )の中に×などと記載されているものは、相手方の添付文書に記載があった内容。
アセチルシステイン | ブロムヘキシン塩酸塩 | dl-イソプレナリン塩酸塩 | クロモグリク酸ナトリウム | 他 | |
---|---|---|---|---|---|
アセチルシステイン | (△) | ||||
ブロムヘキシン塩酸塩 | ×(配合不可) 白濁 | (×) | チロキポサール液(アレベール(R)液) × 白濁 | ||
dl-イソプレナリン塩酸塩 | (×) | ||||
クロモグリク酸ナトリウム | △(配合後、速やかに吸入) 時間経過とともに沈殿 | ×(配合不可) 白濁・沈殿 | ×(配合不可) 白濁・沈殿 |
おわりに
吸入液によって、ネブライザーの種類や混合の可否は異なります。
医師の指示のもと、ご自身にあったものを、正しく使いましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
参考資料)‣