13 対面授業(疼痛・麻酔・がん薬物療法)

90分の流れ(今日やること)

時間内容ゴール
0〜5分事前学習確認痛み・細胞周期を「患者の変化」へつなげる
5〜12分NSAIDs/アセトアミノフェン作用と副作用を同じ機序から説明できる
12〜22分オピオイド(がん疼痛)呼吸・意識・便通を評価できる
22〜27分麻酔・周術期薬術後の呼吸・循環リスクを説明できる
27〜35分抗がん薬+支持療法骨髄抑制と支持療法を結びつける
35〜45分整理演習期待効果↔観察を対応できる
45〜85分3症例演習緊急度判断→確認→報告を練習する
85〜90分小テスト今日の型を確認する

到達目標(対面)

  1. NSAIDsとアセトアミノフェンの違いを説明できる
  1. オピオイド投与後の呼吸・意識・便通を評価できる
  1. 周術期の麻酔薬による呼吸・循環への影響を説明できる
  1. 発熱性好中球減少症を疑い、緊急対応につなげられる
  1. 抗がん薬の血管外漏出時の初期対応を説明できる

0〜5分|事前学習確認(口頭チェック)

  1. PQRSTのうち「痛みの強さ」はどれ?
  1. 突出痛とは何か?
  1. 細胞周期のS期で起きることは?

5〜12分|NSAIDsとアセトアミノフェン

NSAIDs(COX阻害)

  • 効果:炎症・疼痛・発熱を軽減
  • 同じ機序から副作用:
    • 胃粘膜:潰瘍・消化管出血
    • 腎:腎血流低下、AKI、Na・水貯留
    • 血小板:止血への影響
投与前後に確認
  • 消化管出血歴、腎機能、脱水、心不全/高血圧、喘息歴
  • 抗凝固薬/抗血小板薬、他NSAIDsとの重複

アセトアミノフェン

  • 解熱・鎮痛(抗炎症は強くない)
  • 注意:肝障害、低栄養、多量飲酒、成分重複(配合剤)

12〜22分|オピオイド(がん疼痛)

μ受容体の作用 → 患者の変化

  • 鎮痛:NRS↓、体動・睡眠改善
  • 呼吸抑制:呼吸数↓、傾眠(過鎮静が先行することあり)
  • 便秘:耐性がつきにくい → 予防策が重要

定時薬とレスキュー

  • 定時薬:持続痛を抑える
  • レスキュー:突出痛を速やかに軽減
観察:呼吸数/深さ/SpO₂、意識、血圧、悪心、排便、尿閉、せん妄

22〜27分|麻酔・周術期薬(要点)

  • 目的:意識消失、鎮痛、筋弛緩、循環維持、制吐など
  • 術後の注意:気道閉塞、残存筋弛緩、オピオイド呼吸抑制、低血圧、低体温、PONV、せん妄
SpO₂が保たれていても酸素投与中は換気低下が隠れる → 呼吸数・深さ・意識も見る。

27〜35分|抗がん薬+支持療法(要点)

  • 殺細胞性抗がん薬:骨髄抑制、粘膜障害、脱毛など
  • 支持療法:制吐、G-CSF、口腔ケア、疼痛、便通、栄養など(治療継続を支える)

35〜45分|整理演習(期待効果↔観察)

薬・治療期待する効果重要な観察
NSAIDs疼痛・炎症軽減消化管、腎機能、血圧
アセトアミノフェン解熱・鎮痛総投与量、肝機能、成分重複
オピオイド鎮痛呼吸、意識、便通、悪心
全身麻酔手術可能な状態酸素化、換気、循環、覚醒
抗がん薬腫瘍縮小/抑制血算、感染、臓器障害
G-CSF好中球回復血算、骨痛

45〜85分|症例演習(3症例)

症例1:オピオイド開始後

74歳男性。オピオイド開始。翌朝NRS 8→3。 呼びかけで開眼するがすぐ眠る。呼吸数8/分。3日排便なし。
  • 最優先:過鎮静・呼吸抑制の評価(鎮痛できていても問題あり)
  • 確認:意識、呼吸、SpO₂、血圧、瞳孔、最終投与、レスキュー量、腎肝機能、併用鎮静薬、便秘(排ガス/腹部)

症例2:発熱性好中球減少症

58歳女性。抗がん薬後10日。体温38.2℃、好中球300。 血圧96/58、脈拍112。
  • 最優先:FN疑い → 緊急性高い(感染巣が不明でも敗血症へ)
  • 確認:ABC、意識、バイタル、悪寒、CVC、口腔/皮膚/肛門、症状、培養採取、抗菌薬開始時刻

症例3:血管外漏出

末梢静脈で抗がん薬投与中。「焼けるように痛い」。腫脹と発赤。
  • 最初:投与中止、ルート抜去せず吸引、フラッシュしない、連絡、薬剤名/量/漏出推定確認
  • その後:範囲マーキング、記録、挙上、薬剤別に冷/温罨法、経時観察(疼痛/水疱/壊死)

症例ワークシート(記入用)

1 観察(事実)
  • 何がいつから:____
  • バイタル(T/BP/HR/RR/SpO₂):____
  • 服薬/投与(開始・増量・最終投与):____
  • 症状(疼痛/意識/呼吸/便通/局所所見):____
  • 血算(WBC/好中球/Plt):____
2 判断
  • 最優先の危険:____
  • 根拠:____
3 報告(SBAR)
  • S:____
  • B:____
  • A:____
  • R:____

小テスト(例)

  1. NSAIDsの副作用を1つ(機序と結びつけて)。
  1. オピオイド開始後に必ず見る3項目(例:呼吸・意識・便通)。
  1. 発熱性好中球減少症が緊急な理由を1つ。
  1. 血管外漏出で「してはいけない」ことを1つ。