裏寒

裏:内臓
 
現代医学の立場では「ショック準備状態」
 
Point 1.ショック準備状態を見逃さない。
・冷や汗・顔色不良・手足の強い冷え
・血圧低下…血圧が普段と比べ著しく低下している時
・著しい体調不良症状…むやみに苦しがる、むやみに眠たがる、
・咽燥し声がかすれる、ムカムカして吐きそうになる、吐く
 
Point 2.寒「一般的な寒の所見」
・寒そうな様子、寒そうな顔つき、顔色が悪い、蒼白、唇の色が悪い
・手足が冷えている、身体が冷たい、体温が低い
・口中は乾燥せず水分を欲しがらない、温かい飲食物を欲しがる
・舌質は淡、嫩(どん・水分があって、柔らかい感じ)、
歯痕を認めることが多い、舌苔は付着していても白くて表面が潤っている
・尿は透明で着色してない、量が多い 便は軟便傾向
・脈はわかりにくい、弱い
 
Point 3.裏寒の所見
●私流の触診による裏寒の捉え方「他の部位と比較し、冷えを判断」
・背部の肩甲骨間辺りの冷え・心下の冷え、左上腹部の冷え
・鼻の冷え・臍の周りや臍下の冷え・膝や手首の冷え
●私が裏寒を見逃さないために特に注意しているところ
顔色…身体の芯を投影している鼻や唇あたりの白さ、浮腫み、唇が蒼白、紫色
手 …温かくても指先が冷えている
発熱…高熱でも平気でいる、熱のわりに脈が遅い、分かりにくい、均一でない
発汗…汗かきで風邪をひきやすい、鼻水や咳が出やすい
Point 4.特に注意すべき点「裏寒外熱を見逃さない」
・冷たい物をがぶ飲みする・やたらに暑がる・大量の汗をかく
・暑くて寝られない・無性に痒い・無性にいらつく・唇の赤さや乾燥
・舌苔の乾燥など身熱を思わせる症状
※一見、裏寒所見ではなさそうな上記症状が、実は裏寒外熱による煩燥のことがあるので、注意しましょう。
 
◇裏寒の治療薬「温裏剤」
温裏剤とは、裏寒に対する治療薬
身体を強く温めて自然治癒力を高める
「桂皮や麻黄などの解表薬の配されない、生姜や附子の配された構成生薬数の少ない処方」
人参湯エキス顆粒加+修治附子末(附子理中湯)
人参湯エキス顆粒
真武湯エキス顆粒 など
 
●一般臨床の立場での温裏剤の応用について
1)いわゆるプライマリーケアーに使用すると効果抜群である。
:病のごく初期は生体の防衛反応が衰え裏寒に陥りますが、
軟弱となった今日の日本人はごく初期の裏寒が長引いている人が多い
(風邪、咳、鼻水、発熱、下痢、腹痛、嘔吐、尿意頻数など)
2)現代医療では対応が困難な、いわゆる体調不良などで裏寒体質の人には温裏剤を用いる
:胃腸虚弱、風邪をひきやすい、風邪が治りにくい、低血圧、起立性調節障害、
内臓下垂、体調が優れない、疲れやすい、神経衰弱など
3)現代医学の治療経過において、病気の程度から考えて訳もなく体調の不良を訴えたり、むやみに苦しがったりする時、漢方医学の立場では裏寒と診断することが多く、温裏剤を用いる。
4)現代医学の治療はほとんどが生体にとって強力な攻撃的治療法であり、裏寒に陥りやすい。 そのような場合も温裏剤を用いる。
:「手術」「放射線治療」「抗癌剤」「薬剤の多剤服用」「薬剤投与過誤」など
(参照元)漢方スクエア、61号