CKD 管理の ABCDE
A
Acidosis 代謝性アシドーシス
体液の pH 7.35〜7.45
CKD ステージ G3b から、血液検査に、静脈血ガス分析を加える
・治療開始基準:[HCO] 22 mmol/L 未満
なぜ、代謝性アシドーシスになるのか?
- CKD:近位尿細管での NH 産生能低下・・・AG 非開大性高 Cl 性アシドーシス
- 高度腎機能障害(eGFR 30 ml/分/1.73 m 未満):非揮発性酸や尿毒症物質の蓄積・・・AG 開大性アシドーシス
治療
○食事介入は? [CQ 8-5]
- アルカリ性食品(野菜・果物)の摂取
- 機序
- 内因性酸産生量(NEAP)を減少させる
- アルカリ性食品を摂取すると、アミノ酸摂取が変化(硫黄含有アミノ酸の摂取量が減少する)、タンパク摂取量が減少する。(アルカリ性食品が少なく、酸性食品(肉、魚など)が多いと、代謝性アシドーシスの一因と考えられている)
- その他
- カリウム代謝への影響(K摂取による血圧低下作用)
- リン代謝への影響(植物由来のフィチン酸P)
- マグネシウム代謝
- 便通が良くなる
- 注意
- 高カリウム血症:リスク増加は否定できないものの、ガイドラインでは、「食事療法を提案する」とされている ※ただし、高カリウム血症の発症には十分に注意する
- 耐糖能の悪化・・・果物に含まれる果糖の過剰摂取による耐糖能の悪化に注意すべき
対象者:CKD ステージ G3a〜G4 (ただし、RASi 投与例や DKD など高 K 血症のリスクが高いものは除外されている)
結果:高カリウム血症の発症の増加が認められなかった
(エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン 2023)
○治療薬
- 重炭酸ナトリウム
- 機序
- 重炭酸ナトリウム投与により代謝性アシドーシスを補正する:腎機能低下を抑制する可能性がある
- 注意点
- ナトリウム負荷に注意しながら使う・・・浮腫悪化がないかを確認
- Cl と共役していない Na の場合は、体液貯留のリスクは少ないとされている
- 重炭酸カリウムは、高 K 血症リスクがあるため、使えない
メタアナリシス
対象:CKD 患者(ステージG1〜G5)
結果:収縮期血圧
Beynon-Cobb B et al., Clin J Am Soc Nephrol (2023) [PMID: 36758154]