薬を飲ませる工夫

正しい薬の飲ませ方

○注意○
こちらには、あくまでも基本的な方法を書いています。もちろん、お子さんごとに、適切な方法があると思います。薬の特性を活かしつつ、お子さんに合った方法を考えましょう。
薬ごとに、溶かせる/溶かせない/飲食物等との飲み合わせが違いますので、事前に、薬剤師にご相談ください。
薬を扱う時は、手を洗ってから清潔な手で扱いましょう
 

哺乳瓶の乳首を使う方法

対象:新生児〜4ヶ月頃
剤形:粉薬、シロップ
新生児〜4ヶ月頃までは、哺乳瓶の乳首を使い、吸啜(きゅうてつ)反射を利用して飲ませるとスムーズに飲ませることができます
 
哺乳瓶
哺乳瓶の乳首には小さい穴が空いていますが、小さいので溶かした粉薬は詰まる可能性があります。薬が詰まらないように、服薬用に少しだけ穴を広げたものを用意すると良いでしょう
粉薬
水 (白湯) で溶かします
もしも、沈殿している場合は、のませる直前に再度混ぜましょう
シロップ
適度に水で薄めると飲ませやすいです
(粘度は普段のミルク位が目安です)
 
乳首をくわえさせ、吸い始めたら、飲むペースに合わせて、少量ずつ薬液を乳首に入れましょう
 
仕上げにゴックン!
乳首に薬が残っていたら、乳首に少量の水を入れて、残った薬も全部飲ませましょう
仕上げにゴックンすることで、口の中に薬も残らず、後味も解消することができます
 
 

服薬時の体制

対象:5ヶ月頃〜
離乳食が始まり、スプーンで飲食が始まる頃です。
シロップ薬など、スプーンで与えても良いですが、こぼす可能性もあるので、服薬用のスポイトやシリンジを使うこともできます。
服薬中に子どもが急に動くと、口角にあたって口角が切れる恐れがあるので、スポイト等を使う場合は、普通のスポイトではなく、先が丸くなっている服薬用のスポイトを使いましょう。
 
 
⭐ 服薬時の体制
横抱きに
服薬の際は、横抱きにした方が、口から薬がこぼれにくいようです。
縦抱きにする時には、介護者の左脇に、子どもの右手を挟んで、介護者の左手で子どもの左手を持つ(介護者が右利きの場合)と、動きが抑えられるので、服薬しやすくなります。
 
⭐ 薬の与え方
舌は前後運動するので、服薬用のスポイトやシリンジを口に持っていっても、舌で押し出してしまいます。
また、舌の上に薬を流し込むと味を感じます。
 
口角のところから、頬の内側に、少量ずつ流し入れるようにしましょう。
仕上げにゴックン!
服薬したら、飲み物を飲ませて、口の中に薬の味が残らないようにしましょう。

スプーンで服薬する方法

対象:9ヶ月頃〜
剤形:粉薬、シロップ
上唇を使ってスプーン上の食物をこそぎとることができるようになってきたら、スプーンでの服薬も可能になってきます。
最初のひと口めは少量を与え、嫌がるようであれば スポイトか内服用シリンジで服薬させましょう。
食事の形態を考えると、少しとろみのついた状態が 飲ませやすいです。服薬補助食品も適宜利用できます。
 
仕上げにゴックン!
服薬したら、飲み物を飲ませて、口の中に薬の味が残らないようにしましょう。

コップで服薬する方法

剤形:シロップ
コップを用いた連続飲みができるようになったら、 コップでの服薬もできるようになります こな薬を口に入れて飲めるようになります
 
口にこな薬を入れてあげ、自分でコップで 水を飲ませましょう
 
【ちょっとしたポイント】 袋の切り方
こな薬の袋を開ける時、
①最初にトントンとして薬をあつめて
②上をカットします
このとき、薬の入った方ができるだけ小さくなるよう、大きく切ることがおすすめです。
薬の入っている部分は小さいほど、薬はサッと短時間で落ちます。(ただし、薬がこぼれないようにご注意ください)
それか、こな薬をスプーンに移しても良いです。
 
【ちょっとしたポイント】 
特別なコップでやる気もアップ!
お薬用の特別なコップを用意するのも良いでしょう。
お気に入りのキャラクターの力を借りましょう。
 
お薬が嫌になると、服薬のときに使う道具をみるだけで拒否する可能性もあります。ただ、コップを分けておくと、「このコップが嫌だ」となった場合でも、普段の水分補給ができるように、分けておくことが役立つと思います。
【ちょっとしたポイント】 
お水は少量で大丈夫
コップに入れておくお水(白湯)の量は、少量にしておくことをおすすめします。
お水でお腹いっぱいになって、お薬を全部飲みきれない、とならないようにしましょう。

お薬団子を作る方法

剤形:こな薬
子どものこな薬の飲み方の一つに、水を加えてペースト状にする方法があります。
 
  • 小さい容器に、こな薬を出します
  • こな薬に、少量の水を加え、ペースト状にします
    • 加える水の量は、数滴で大丈夫です
 
  • ペーストを、頬の内側か上顎に塗りつけてください
    • 上手にモグモグできると思います
    • 介助者の指先にペーストをつけると、しやすいと思います
 
仕上げにゴックン!
服薬したら、飲み物を飲ませて、口の中に薬の味が残らないようにしましょう。
【ちょっとしたポイント】 
もし水を入れすぎたとしても、液状にして飲ませてあげると大丈夫ですよ
ご安心ください

まねっこ法

剤形:こな薬
子どもさんは、介助者のすることをよく見ていて真似するのが上手です。
 
  • 小さい平らなお皿に、こな薬を出します
  • 保護者さんが、指にこな薬をちょんちょんとつけて、なめるようにして見せます
  • お子さんも、それを真似して、指先につけてなめます
  • 全部飲めたら、一口飲料を飲ませて、口の中をスッキリさせましょう
 

食べ物等と混ぜる

どうしても薬を嫌がる場合には、飲食物や服薬補助食品を上手に活用すると良いです。
おすすめの食品
単シロップ
単シロップとは、甘〜い、ガムシロップのようなシロップです。甘味をつけるために、薬局で用いられます。
ご家庭では、1回分包装のガムシロップポーションを備えておくと、使い勝手も良いでしょう。
アイスクリーム
個人的なおすすめは、チョコ味の甘〜いアイスです。
チョコの苦味で薬の味がマスクされること、混ぜても色がわかりにくいのでオススメです。
ミルクココア(甘い)と混ぜるのもオススメです。少量ココアを作り、冷ましてから混ぜると良いです。
チョコクリームピーナツバター
パンに塗る用の、チョコクリームやピーナツバタークリームもおすすめです。
後述しますが、こな薬に水を垂らしてから混ぜると、混ぜやすいです。
他にも
コンデンスミルク(練乳)・ジャム・
ゼリー・プリン・バナナ・すりおろしリンゴ
このような食品もおすすめです。
 
ひと工夫:
プチシュークリーム・最中
薬の形を見せないようにするためには、これらに挟むことも有効でしょう。
 
味噌汁やコーンスープ、海苔の佃煮、ふりかけ
甘いものが苦手なお子さんの場合、これらに混ぜても良いでしょう。
ただし、熱い状態で混ぜると、薬の成分が熱で失活するといけないので、混ぜる前に、十分冷ましてから、混ぜましょう。
 
 
 
基本的な注意事項
混ぜて良いか、事前に確認
食品と混ぜる場合は、食品アレルギーへの配慮が必要なことはもちろんですが、薬によっては、飲食物の組み合わせによって
  • 薬が苦くなる
  • 薬の効き目が落ちる
などの可能性があります。
混ぜて良いか、事前に確認しましょう。
 
飲ませる直前に1回分だけ
混ぜる場合は、お薬を飲ませる直前に、1回分だけ加工するようにしましょう。
混ぜた後に、長時間放置すると、お薬の特別な加工が失われ、効果が無くなったりする可能性があります。
混ぜるときは、少量の飲食物に混ぜましょう
お腹いっぱいになると、全部食べられない場合があります。お薬を残さないように、少量の食品に混ぜるようにしましょう。
また、お子さんから見えないところで、混ぜましょう。
 
ミルク離乳食には混ぜない
相互作用(飲み合わせ)を防ぐためや、大切な食事を嫌いにならないように、ミルクや離乳食には混ぜないようにしましょう。
食事とは別の食品に混ぜましょう。
食前に薬を飲ませた場合は、同じスプーンを使う場合、スプーンに残った薬をすすいでから、食べさせましょう。
仕上げに一口、パックン!
食品に混ぜる場合も、食べさせた後に、速やかに、薬を混ぜていない食品を一口食べさせる、または、一口の飲み物をのませることがおすすめです。
口の中に薬の味を残さないようにしましょう。
飲めたら大袈裟に褒めましょう!
お子さんのやる気があがるように、ほめましょう!
 

服薬補助食品を活用する

色んな服薬補助食品があるので、上手に活用すると良いです。
混ぜ方:
薬を包みこみましょう
  • スプーンの上に、ゼリー→薬→ゼリーの順に出して、はさみましょう
  • 小さい容器に、ゼリー等と薬を入れ、グルグルっと混ぜても良いです
商品説明にあるように使ってください。
 
顆粒剤のザラザラ感が気になる場合には
お子さんの中には、ザラザラな舌触りを苦手とする場合もいらっしゃるようです。そのときは、
  • スプーンの背で潰す
  • 水を1滴加えてから
などの後に、食品に混ぜると良いでしょう。
 
ただし、「潰しても良いですか?」と、事前にご相談ください。特殊な薬では、薬が粒々であること自体に意味があるので、潰してはいけない薬も中にはあります。
 
ゼリーと薬がバラバラになる場合には
服薬ゼリーで錠剤やカプセルを飲もうとすると、ゼリーから薬が飛び出て、錠剤やカプセルが口の中に残る場合があります。この場合、ゼリーを、もう少し粘性の高いものにすると解決する場合があります。
最近では、服薬専用のねるねるねるねが販売されています。
 
他にも、、、
薬を1回分ずつ製氷器に分けて凍らせて、シャーベットにする方法なども考案されています。
 
 
お子さんに合った方法が見つかりますよう、薬剤師にお手伝いさせてください。
 

混ぜてはいけない食品

1歳未満・はちみつ
1歳未満の乳児には、ハチミツは絶対に与えないでください。胃腸機能が発達していないので、乳児ボツリヌス症を発症するリスクがあります。
熱々の食品
熱々の食品に薬を入れると、成分が変化する場合があります。十分に冷めてから、薬を混ぜましょう。
ミルクや主食
主食となるミルクやおかゆ等に、薬を混ぜないでください。味が変わり、主食・ミルク嫌いになる恐れがあります。
薬によっては、飲み合わせ(相互作用)で効き目がなくなる可能性もあります。
混ぜない方が良い食品
酸味のある飲み物
オレンジジュースやスポーツドリンク
一部の抗生剤等では、酸味とあわさると、薬が非常に苦くなります。
炭酸飲料
薬と相互作用が起こり、薬の吸収が変わる可能性があります。また、炭酸でお腹がいっぱいになり薬を飲まなくなる可能性もあります。
 
子どもの発達段階に応じた声かけも重要です →
 
参考資料)
調剤と服薬指導がわかる 小児科これだけ