アスピリン喘息の方と点鼻薬
こちらのページでは、アスピリン喘息のある方に注意していただきたい医薬品のことをまとめました。
アスピリン喘息の引き金となる物質は、アスピリンや NSAIDs 以外にも、多くの誘発物質が存在するため、注意が必要です。
そこで、添加物に注意が必要であることを書きました。
その中から、「パラベン」を取り上げます。
パラベン
パラベンは、防腐剤として、食品・医薬品・化粧品に使用されています。
アスピリン喘息の誘発物質の一つであり、パラベンを静注したところ、アスピリン喘息の22%で、パラベン過敏例が認められた [2] ように、アスピリン喘息がある方の中には、パラベンも誘発物質となり得るため注意が注意が必要です。
特に注意してほしい理由として、次の2点があります。
点鼻薬の添加剤として使われている
パラベンは防腐剤として、医薬品の添加物に使用されています。
一般用医薬品(いわゆる市販薬)にも使用されており、点鼻薬やうがい薬などの中には、添加物として含有するものがあります。
パラベンを添加物として含有する一般用医薬品(検索日:2024年9月25日)
薬効分類 | 効能・効果 | |
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アズシュートAZのどスプレー アズショット アズプッシュ アズリースロート パープルショット ラフェルサAZのどスプレー | 口腔咽喉薬(せき,たんを標榜しないトローチ剤を含む) | のどの炎症によるのどあれ・のどの痛み・のどのはれ・のどの不快感・声がれ,口内炎 |
エメロットALGプラス点鼻薬 エージーノーズアレルカットM カイゲン点鼻スプレー グットエイドALGプラス点鼻薬 スカイブブロンNAスプレー ダイスットプレミアム ナザールGスプレー ナザールGスプレークール ナーザルスキットN パブロン点鼻JL ヒストミン点鼻薬 フジビトール点鼻薬 モーテン点鼻薬 ラウレアALGプラス点鼻薬 新ルル点鼻薬 点鼻薬ALプラス 点鼻薬ALプラスクール 爽AL点鼻薬a 雪の元点鼻スプレー | 鼻炎用点鼻薬 | 花粉,ハウスダスト(室内塵)等による次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず(鼻汁過多),鼻づまり,くしゃみ,頭重(頭が重い) |
ビーソフテンスプレー ビーソフテン泡スプレー | その他の外皮用薬 | 手指のあれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、きず・火傷あとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・捻挫後のはれ・筋肉痛・関節痛 |
フェルゼアプレミアムHPブーストフォーム | しもやけ・あかぎれ用薬 | 乾皮症,小児の乾燥性皮膚,手指のあれ,手足のひび・あかぎれ,ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症,しもやけ(ただれを除く),傷・火傷のあとの皮膚のしこり・つっぱり(顔面を除く),打ち身・捻挫後のはれ・筋肉痛・関節痛 |
近江兄弟社メンタームメディッドクールスプレー | 鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬(パップ剤を含む) | 日焼けに伴うほてり・痛み・かゆみ,湿疹,皮膚炎,かゆみ,かぶれ,ただれ,あせも |
鼻症状がある人には、アスピリン喘息が潜んでいる可能性がある
アスピリン喘息は、アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によって誘発される喘息のことであり、鼻ポリープ(鼻茸)を伴う慢性副鼻腔炎と合併する可能性があります。鼻茸を合併する喘息患者の約半数がアスピリン喘息 [3] と言われています。
鼻づまり等の鼻症状があり、点鼻薬の購入を希望する方の中には、鼻茸があり、アスピリン喘息である人がいる可能性があります。
点鼻薬購入者に対し、アスピリン喘息の既往を確認し、既往がない場合でも、鼻茸がある方に対しては、パラベンを含まないパラベンフリーの製品を選択することが重要です。
参考)
[1] 荻野 敏, 高橋 桜子, 川嵜 良明, 水津 百合子, 入船 盛弘, アスピリン喘息における誘発物質 (添加物) について, 耳鼻と臨床, 2000, 46 巻, 1 号, p. 31-36, 公開日 2013/05/10, Online ISSN 2185-1034, Print ISSN 0447-7227, https://doi.org/10.11334/jibi1954.46.1_31, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/46/1/46_31/_article/-char/ja
[2] 谷口 正実, 佐藤 篤彦, 妹川 史朗, 豊嶋 幹生, 中澤 浩二, 早川 啓史, 千田 金吾, 71 アスピリン喘息におけるパラベン過敏, アレルギー, 1991, 40 巻, 3-2 号, p. 358-, 公開日 2017/02/10, Online ISSN 1347-7935, Print ISSN 0021-4884, https://doi.org/10.15036/arerugi.40.358_3, https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/40/3-2/40_KJ00001623682/_article/-char/ja
[3] 重篤副作用疾患別対応マニュアル:非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息、解熱鎮痛薬喘息、アスピリン不耐喘息、鎮痛剤喘息症候群)