血栓症治療薬

血栓

血栓とは: 血管に傷がついた時や、血液が血管外に流れ出して、空気や異物に触れた時、失血を防ぐために血液が固まる(生命を守るための生理的止血) しかし、炎症や動脈硬化、糖尿病、高脂血症などの病態では、出血等がないのに止血機構が働く(病的止血)
  • 血栓症・・何らかの原因で血管の中に、血のかたまりができ、それによって血管がつまる病気
    • 心臓)心筋梗塞
    • 脳)脳梗塞
    • 肺)エコノミー症候群(肺塞栓症)
  • 「梗塞」と「塞栓」
    • 塞栓症・・他の部位で形成された血栓が血流によって流され、血管を閉塞させる病気
      • 心原生脳塞栓症
    • 梗塞
      • 脳梗塞・・脳の血管で血栓ができて、血管が閉塞する
 
血栓症治療薬には、「抗血小板薬」「抗凝固薬」「血栓溶解(線溶)薬」がある
止血の仕組み

疾患

 
薬物治療

抗血小板薬

作用機序

血小板凝集
  • 一次血栓:血小板同士が結合して大きな塊を作る
    • 引き金:異物との接触
    • 血小板が、血小板凝集物質を放出して、凝集反応が起こる
薬理作用
 
 
 

薬効分類

 
 

抗凝固薬

作用機序

血液凝固反応
  • 二次血栓:フィブリンというノリで血小板同士を鏡に固める反応
    • (特徴)一次血栓より時間がかかるが強固
    • (特徴)出血部位で、血液凝固因子が連続的かつ増幅的に活性化される(出血部位のみで活性化されるような仕組み)
    • 反応の引き金)内因性と外因性がある
      • 血の固まりやすさを調べる検査には、内因性凝固反応を調べる検査(APTT)と外因性凝固反応を調べる検査(PT)がある
    • 最終的には、フィブリノーゲンが活性化されて、フィブリンへと変換される。=糊として働く
    • 血液凝固因子:
      • 血液凝固因子には第Ⅰ因子〜第XⅢ因子までの12個ある(Ⅳ欠番)
      • ビタミンK依存性凝固因子
        • 血液凝固因子のうち、赤丸のものは、肝臓で合成されるときに、補酵素としてビタミンKが必要
薬理作用
  • ワルファリン)ビタミンKの作用を阻害する
  • 直接Ⅹa阻害薬)Xa因子の作用を阻害する
  • 直接トロンビン阻害薬)トロンビンの作用を阻害する
 
 
 
 

薬効分類

ビタミンK拮抗薬 DOAC
抗凝固薬は、ビタミンK拮抗薬であるワルファリンと、DOAC に大別される。
ビタミンK拮抗薬
ワルファリン
  • 薬理作用)ビタミンKに拮抗し、ビタミンKの作用を阻害することで血液凝固反応を阻害する
  • 副作用)過剰→出血傾向
  • 注意)ビタミンKは併用禁忌
    • ビタミンKを豊富に含む食品:納豆・クロレラ
  • 妊婦禁忌
  • 治療効果確認)PT-INR
直接Ⅹa阻害薬
  • 薬剤例)リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン
  • 薬理作用)Ⅹa の作用を阻害する
  • 副作用)過剰→出血傾向
  • 注意)腎機能に応じて減量が必要
直接トロンビン阻害薬
  • 薬剤例)ダビガトラン
  • 薬理作用)トロンビンの作用を阻害する
  • 副作用)過剰→出血傾向
  • 注意)腎機能に応じて減量が必要
 

薬効の確認

観察項目
  • (薬効不足)血栓傾向
  • (効きすぎ)出血傾向
  • 血液凝固検査
    • TT, トロンボテスト・・従来、TTが抗凝固効果をモニターするために使われてきた
    • PT, プロトロンビン時間・・現在、抗凝固効果のモニターには、PT-INRを使うことが推奨されている
      • INR, 国際標準比・・試薬や測定機器の違いによるばらつきを防ぐために補正

抗血栓薬の使い分け

抗凝固薬と抗血小板薬の使い分け
  • 血栓の種類による使い分けがある
  • 臨床研究の結果から、治療効果がある薬剤が選択されている
 

副作用の確認

出血傾向

注意

周術期
抗血栓薬を服用していると出血リスクが高くなるため、旧約が必要な場合がある。ただし、休薬すると血栓症が起こるリスクがあるため、総合的に判断する(以前よりも休薬期間は短縮傾向)
 

線溶薬

作用機序

線溶
  • 線溶系・・不要になった血栓を溶かすための仕組み
  • プラスミンが、フィブリンのノリを切るハサミの役割をする
  • 必要時に、プラスミノーゲンから活性化されてプラスミンができる
  • プラスミノーゲンアクチベーターには2種類ある
    • t-PA‥血栓で作用する
    • u-PA‥全身に影響する →副作用につながりうる

薬効分類

組織型プラスミノーゲンアクチベーター
  • 薬剤例)アルテプラーゼ、モンテプラーゼ
  • 特徴)急性期に使用する
    • 時間が経つと
      • ベネフィット減少‥血栓を溶かしても回復しない領域が増大
      • リスク増大‥血管がもろくなるので、再度血液が流れた時に出血するリスクが高い
ウロキナーゼ
  • 特徴)ウロキナーゼ型プラスミノーゲンは、血液中に存在する(血栓特異的ではない)