ACE阻害薬
ACE 阻害薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
特長:
昇圧物質の合成を抑制し、血圧効果作用を発揮する
空咳の副作用に注意
作用機序

液性昇圧系:レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
アンジオテンシンⅡの合成を阻害することで、昇圧系の作用を抑制する
- 血圧低下
- 体液量増加を抑制
薬剤名
慢性心不全に適応がある
類薬
ARB
心血管イベントの抑制においては、ACEi の方が、有効性を示すエビデンスが多い(キニン系の効果もあるため)
ARNI
直接レニン阻害薬
マルチモビディティを考慮
腎機能
ACE阻害薬は、ほとんどが腎排泄型薬剤
胆汁・腎排泄型:テモカプリル
禁忌事項など
血管浮腫
アフェレーシス
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシス
吸着材により血中キニン系の代謝が亢進し、ブラジキニン産生が増大する
血液透析
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた血液透析:
AN69 により血中キニン系の代謝が亢進し、ブラジキニン産生が増大する
妊婦・妊娠可能性
女性への降圧薬選択時には、妊娠の希望を確認した上で、選択する(ACEi、ARBは避ける)
- 妊娠初期:胎児奇形
- 妊娠中期・後期:胎児毒性(羊水過少症をはじめ)
手術前
添付文書には、急激な血圧低下を起こすことがあるため、手術前には投与しない方が望ましい旨記載されているが、患者背景や手術内容に応じて判断される
手術予定があると患者から聞いた際には、飲んでいる薬を伝えているか確認するとともに、必要に応じて情報提供する
手術前の休薬推奨
手術前の休薬推奨 | |
---|---|
カプトプリル | 24時間前 |
エナラプリル | 24時間前 |
アラセプリル | 24時間前 |
デラプリル | 24時間前 |
リシノプリル | 24時間前 |
ベナゼプリル | 24時間前 |
イミダプリル | 24時間前 |
テモカプリル | 24時間前 |
トランドラプリル | 24時間前 |
ペリンドプリルエルブミン | 24時間前 |
ARNI へ切り替える時の注意
ACEi→ARNI
36時間あける
ARNI 開始の36時間前までには終了しておく
代表的な副作用
空咳
機序)サブスタンスPの分解抑制
頻度)5%から35%
薬剤の違い)
特定の薬剤で発生率が高いとする研究のほか、
ACEi に共通する副作用であり、薬剤間に違いはないとする研究もある https://doi.org/10.1093/eurheartj/eht309.P4310
リスク因子)高齢者、女性、アジア系人種
対処法)休薬が唯一の効果的な対処法とされている https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16428706/
休薬後1〜4週間で改善
薬剤ごと空咳出現頻度
RR | |
---|---|
カプトプリル | 2.59 (1.46 – 4.59) |
エナラプリル | 1.23 (1.16 – 1.30) |
アラセプリル | |
デラプリル | |
リシノプリル | |
ベナゼプリル | 1.24 (0.28 – 5.53) |
イミダプリル | - |
テモカプリル | - |
トランドラプリル | 2.45 (1.11 – 5.42) |
ペリンドプリルエルブミン | 4.19 (3.51 – 4.98) |
血圧低下
めまい・ふらつき
高K血症
シックデイ
低血圧
血圧低下時の対処が必要な場合があるので、個別に対応