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GLP-1 受容体作動薬

GLP-1 受容体作動薬 (GLP-1RA)

1. 定義と作用機序

  • 定義
    • グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は腸管から分泌されるインクレチンホルモンの一種。GLP-1受容体作動薬とは、GLP-1受容体を活性化し、インスリン分泌の促進やグルカゴン分泌の抑制を介して血糖を低下させる注射製剤である。
  • 作用機序
    • 膵β細胞への作用:血糖依存的にインスリン分泌を促進
    • 膵α細胞への作用:過剰なグルカゴン分泌を抑制
    • 消化管運動:胃排出を遅延させ、食後血糖の上昇を緩徐化
    • 中枢作用:満腹中枢に働きかけ、食欲を抑制
患者さん向け薬効の説明:
「インクレチン」というホルモンの作用を真似する薬
  1. 食後だけインスリンを出す
      • 血糖が高いときだけ膵臓からインスリンを分泌し、食後の高血糖をしっかり抑えます。
  1. 胃の動きをゆるやかに
      • 胃の中の食べ物の消化・排出を少し遅らせるので、食後の血糖上昇がなだらかになります。
  1. 食欲をおさえる
      • 中枢に作用して「満腹感」を感じやすくし、食べ過ぎを防ぎます。

2. 特徴

  • 血糖依存的インスリン分泌促進:低血糖リスクが単独では低い
  • グルカゴン抑制:肝糖新生の抑制
  • 胃排出遅延:食後高血糖の是正と満腹感増大
  • 体重減少作用:食欲抑制+胃排出遅延により体重減少が期待できる
  • 心血管保護作用:一部薬剤で心血管イベント抑制が示されている
 

3. 主な薬剤例

日本糖尿病学会 >インスリン製剤、GLP-1受容体作動薬 一覧表URL https://www.jds.or.jp/modules/education/index.php?content_id=136
 

4. 適応症

  • 2型糖尿病:単独または他剤併用による血糖コントロール改善
  • 肥満症:ウゴービ
  • 心血管疾患ハイリスクの糖尿病患者:心血管予後改善目的

5. 注意点・副作用

  • 消化器症状:悪心・嘔吐・下痢・便秘(初期に多い)
  • 低血糖:インスリンやSU薬併用時は注意
  • 膵炎リスク:急性膵炎報告あり
  • 甲状腺C細胞過形成:動物試験で観察(臨床上は未確定)
  • 注射部位反応:疼痛や発赤
  • 腎機能低下時:脱水・吐き気で腎機能悪化に注意
 

6. 類薬との使い分け

  • DPP-4阻害薬:経口で低血糖リスク低いが、体重変化なし。GLP-1RAは体重減少・心血管保護効果を期待する場合に選択。
  • SGLT2阻害薬:心・腎保護効果あり。GLP-1RAは特に食後血糖と体重管理を重視する場合に優先。
  • インスリン製剤:強力な血糖降下が必要な場合はインスリン、インスリン導入抵抗や体重増加を避けたいときはGLP-1RAを検討。
  • SU薬:低コストだが低血糖リスク高い。GLP-1RAは低血糖リスクを抑えつつ減量効果を得たい場合に適する。
 
ポイント:
  • 低血糖リスクが低く、有効性も高い
  • ただし、投与開始時の消化管症状のため、継続できない場合もいる→予防と対策
 

参考資料