肝庇護薬
肝庇護薬は、肝細胞の障害を抑制・修復し、肝機能の改善を図る薬の総称。慢性肝炎・肝硬変・脂肪肝など、さまざまな肝疾患の補助療法として用いられる。抗ウイルス薬のような原因治療ではなく、肝臓を「守る・助ける」薬。
🔹 グリチルリチン製剤(強力ネオミノファーゲンシー® 等)
- 甘草(カンゾウ)由来のグリチルリチン酸が主成分
- 抗炎症作用:肝細胞における炎症性サイトカインの産生を抑制
- 膜安定化作用:肝細胞膜を安定化し、障害を軽減
- 抗アレルギー作用:免疫応答の過剰な活性化を抑制
- 注意:偽アルドステロン症(低K血症・浮腫・高血圧)に留意
🔹 ウルソデオキシコール酸(UDCA)
- 胆汁酸の一種 → 胆汁うっ滞の改善・肝細胞保護
- 疎水性胆汁酸(肝毒性)を置換 → 肝細胞障害を軽減
- 免疫調節作用・抗酸化作用も寄与
- 胆石溶解薬としても使用(→ 胆石溶解薬(利胆薬) も参照)
🔹 肝臓水解物(プロヘパール® 等)
- 肝臓から抽出したアミノ酸・ペプチド・核酸等を含有
- 肝細胞の再生・修復を促進
- 慢性肝疾患における肝機能改善の補助
| 代表薬(一般名) | 先発品例 | 剤形 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤 | 強力ネオミノファーゲンシー® | 注射 | 慢性肝炎のAST/ALT改善、偽アルドステロン症に注意 |
| ウルソデオキシコール酸 | ウルソ® | 内服 | 胆汁うっ滞改善、PBC、広い適応 |
| 肝臓水解物 | プロヘパール® | 内服 | 肝細胞再生の補助、慢性肝疾患 |
- 肝機能検査値のモニタリング:AST・ALT・γ-GTP・ビリルビン等の推移を確認
- グリチルリチン製剤(注射)の副作用:
- 偽アルドステロン症(低K血症・浮腫・血圧上昇・筋力低下)
- 定期的な血清K値・血圧のチェックが重要
- 甘草含有漢方薬との併用でリスク増大 → 併用薬の確認
- UDCA:食後服用、下痢の出現に注意
- 長期投与が多い → 服薬アドヒアランスの支援
- 肝庇護薬は対症療法であり、原因疾患(ウイルス性肝炎・アルコール性肝障害等)の治療が優先される点を理解