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肝庇護薬

肝庇護薬

① 薬効群の概要

肝庇護薬は、肝細胞の障害を抑制・修復し、肝機能の改善を図る薬の総称。慢性肝炎・肝硬変・脂肪肝など、さまざまな肝疾患の補助療法として用いられる。抗ウイルス薬のような原因治療ではなく、肝臓を「守る・助ける」薬。

② 作用機序

🔹 グリチルリチン製剤(強力ネオミノファーゲンシー® 等)

  • 甘草(カンゾウ)由来のグリチルリチン酸が主成分
  • 抗炎症作用:肝細胞における炎症性サイトカインの産生を抑制
  • 膜安定化作用:肝細胞膜を安定化し、障害を軽減
  • 抗アレルギー作用:免疫応答の過剰な活性化を抑制
  • 注意:偽アルドステロン症(低K血症・浮腫・高血圧)に留意

🔹 ウルソデオキシコール酸(UDCA)

  • 胆汁酸の一種 → 胆汁うっ滞の改善肝細胞保護
  • 疎水性胆汁酸(肝毒性)を置換 → 肝細胞障害を軽減
  • 免疫調節作用抗酸化作用も寄与

🔹 肝臓水解物(プロヘパール® 等)

  • 肝臓から抽出したアミノ酸・ペプチド・核酸等を含有
  • 肝細胞の再生・修復を促進
  • 慢性肝疾患における肝機能改善の補助

③ 代表薬

代表薬(一般名)先発品例剤形特徴
グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤強力ネオミノファーゲンシー®注射慢性肝炎のAST/ALT改善、偽アルドステロン症に注意
ウルソデオキシコール酸ウルソ®内服胆汁うっ滞改善、PBC、広い適応
肝臓水解物プロヘパール®内服肝細胞再生の補助、慢性肝疾患

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 肝機能検査値のモニタリング:AST・ALT・γ-GTP・ビリルビン等の推移を確認
  • グリチルリチン製剤(注射)の副作用
    • 偽アルドステロン症(低K血症・浮腫・血圧上昇・筋力低下)
    • 定期的な血清K値・血圧のチェックが重要
    • 甘草含有漢方薬との併用でリスク増大 → 併用薬の確認
  • UDCA:食後服用、下痢の出現に注意
  • 長期投与が多い → 服薬アドヒアランスの支援
  • 肝庇護薬は対症療法であり、原因疾患(ウイルス性肝炎・アルコール性肝障害等)の治療が優先される点を理解

補足:偽アルドステロン症のメカニズム

  • グリチルリチン酸は11β-HSD2(ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型)を阻害
  • コルチゾール → コルチゾンへの不活化が抑制される
  • 過剰なコルチゾールがミネラルコルチコイド受容体に作用 → Na・水の貯留、K排泄↑
  • 結果:浮腫・高血圧・低カリウム血症(アルドステロン自体は上昇しない=「偽」)