前立腺肥大症
薬物治療
| 薬剤分類 | 代表薬 | 作用機序 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| α₁遮断薬(第一選択) | タムスロシン(ハルナール®) ナフトピジル(フリバス®) シロドシン(ユリーフ®) | 前立腺平滑筋のα₁受容体を阻害 → 平滑筋弛緩 → 尿道圧迫の機能的改善 | 起立性低血圧(特に投与初期)・めまい・鼻閉。術中のIFIS(術中虹彩緯緩症候群) |
| 5α還元酵素阻害薬 | デュタステリド(アボルブ®) | テストステロン → DHTへの変換を阻害 → 前立腺体積の縮小 | 効果発現に3〜6ヶ月。PSA約50%低下。妊娠中の女性は触れない |
| PDE5阻害薬 | タダラフィル(ザルティア®) | PDE5阻害 → cGMP↑ → 前立腺・膀胱平滑筋弛緩 + 血流改善 | 排尿症状と勃起障害(ED)の両方に有効。硝酸薬との併用禁忌 |
| 抗コリン薬(蓄尿症状が主体の場合) | ソリフェナシン(ベシケア®)など | 膀胱平滑筋のM受容体阻害 → 過活動膀胱抑制 | 残尿が多い場合は尿閉のリスク↑。口渇・便秘 |
| β₃作動薬(蓄尿症状が主体の場合) | ミラベグロン(ベトミガ®) | 膀胱のβ₃受容体を刺激 → 膀胱弛緩 → 蓄尿能改善 | 抗コリン薬より口渇・便秘が少ない。高血圧に注意 |
併用療法
- α₁遮断薬 + 5α還元酵素阻害薬:前立腺体積が大きい場合に推奨。α₁遮断薬で速やかに症状改善 + 5α阻害薬で長期的に前立腺を縮小
- α₁遮断薬 + PDE5阻害薬:EDを合併する場合に有用
看護師向け:観察・指導ポイント
💧 排尿状態の観察
- 排尿回数(特に夜間頻尿)・尿勢・残尿感の確認
- 尿閉の兆候:下腹部膨満・強い尿意があるのに出ない → 緊急導尿が必要
- 排尿日誌の記録を指導
💊 薬剤別の観察ポイント
- α₁遮断薬:起立性低血圧(立ちくらみ・ふらつき)に注意。特に投与初期・高齢者・降圧薬併用時
- 5α還元酵素阻害薬:効果発現に3〜6ヶ月かかることを説明。PSAが低下することを医師に伝える。妊娠中の女性が触れないよう指導
- PDE5阻害薬:硝酸薬(ニトログリセリン等)との併用禁忌(急激な血圧低下)
- 抗コリン薬:残尿が多い場合は尿閉リスク↑。口渇・便秘の観察
⚖️ 手術前後の看護(TURPなど)
- 術後はバルーンカテーテル留置 → 血尿の程度・尿量・カテーテル閉塞の有無を観察
- TURP症候群(低ナトリウム血症)に注意:悪心・嘆吐・意識障害
- 術後の一過性尿失禁のケアと骨盤底筋体操の指導
⚠️ 白内障手術前の確認
- α₁遮断薬服用中の患者が白内障手術を受ける場合、IFIS(術中虹彩緯緩症候群)のリスク → 眼科医に服用歴を必ず伝える
🌿 生活指導
- 水分摂取の工夫:就寝前の過剰な水分摂取を避ける(夜間頻尿対策)
- カフェイン・アルコールの制限(利尿作用で症状悪化)
- 長時間の座位を避ける(骨盤内うっ血による症状悪化)
- 便秘の予防(努責による症状悪化)
- 風邪薬(OTC)の注意:抗コリン成分含有の総合感冒薬で尿閉が誘発されることがある → 薬剤師・医師に相談するよう指導