与薬

総論(共通)

  • 本人確認(氏名、生年月日)+薬剤確認(薬剤名、用量、用法、投与時間、投与経路、禁忌・注意、アレルギー歴)
  • 5R/6Rの徹底:Right patient / drug / dose / route / time(+記録)
  • 前後比較:投与前のバイタル・症状・検査値 → 投与後の変化(効果・副作用・アレルギー)
  • 誤薬防止:類似名称、規格違い(mgとmLなど)、外観類似、ハイアラート薬(インスリン、抗凝固薬、抗がん薬、電解質製剤など)
  • 服薬/与薬できない要因:嚥下、悪心、意識、拒否、疼痛、ライン閉塞などを先に評価し代替案を検討
  • 多剤同時投与の注意:相互作用、配合変化、投与間隔、吸着、投与順序(特に注射・点滴)
  • 記録:実施内容(時間、量、経路)、観察所見、患者さんの反応、トラブル対応

内服(経口:錠剤・カプセル・散剤・顆粒、口腔内崩壊錠)

薬剤の特徴

  • 服用タイミング:食前/食後/就寝前/頓用
    • 薬効や副作用に食事とのタイミングが影響する薬に注意
  • 割線・粉砕・脱カプセル:徐放性・腸溶性・苦味/刺激性・催奇形性/暴露リスク(抗がん薬等)は特に注意
  • 除包:光・湿気の影響・・アルミ包装には注意
  • 一包化:湿気・光・臭い移行、吸湿性、配合禁忌の有無
  • 口腔内崩壊錠:口腔乾燥が強い場合は付着不良・崩壊遅延に注意(少量の水で湿らせる等)

服薬行為に関連する注意点

  • 嚥下評価:むせ、咳嗽、湿性嗄声、口腔内残留 → 形態調整や経路変更を検討
  • 水分制限/電解質制限:溶解に必要な水量、K/Na含有製剤に注意
  • 服薬後観察:眠気、ふらつき、低血糖、出血、発疹など(薬効に応じて)
 

口腔内投与(舌下錠)

薬剤の特徴・・発作時に迅速な効果発現を期待して使用する

  • 舌下:「飲み込まない」指導が重要(効果減弱のリスク)
  • 口腔乾燥が強い場合は崩壊遅延(薬効減弱の可能性)に注意・・少量の水で湿らせる等
  • 直後の飲食・うがいで効果が落ちる薬はタイミング調整
体位に注意が必要なのはニトログリセリンの舌下

口腔内投与(バッカル)

薬剤の特徴・・持続的な効果発現を期待して使用する

  • バッカル:「飲み込まない」指導が重要(効果短縮)
     

    吸入(定量噴霧式・ドライパウダー・ネブライザー)

    • 手技の確認が最重要(エラー=無効):吸気流量、息止め、デバイス準備、吸入回数
    • 吸入ステロイド:嗄声・口腔カンジダ予防のうがい(可能なら)
    • LABA/LAMA等:頻脈、口渇、尿閉、緑内障増悪の注意(患者背景)
    • ネブライザー:マスク/マウスピース適合、衛生管理(洗浄・乾燥)、感染対策

    外用(皮膚:軟膏・クリーム・ローション・貼付剤)

    • 塗布量の目安(FTU等)と塗布回数の統一(「薄く」だと不足しやすい)
    • 皮膚状態:びらん・感染・湿疹の程度で剤形選択(油性/水性、刺激性)
    • ステロイド外用:部位(顔・陰部・間擦部)で強さ・期間に注意、眼周囲は特に慎重
    • 贴付剤(経皮吸収型):
      • 貼付部位ローテーション、剥がれ・かぶれ、入浴時の注意
      • 発熱・加温(カイロ等)で吸収↑し中毒リスク(特にフェンタニル等)
      • 前回のパッチの剥がし忘れ・重複貼付に注意
    • 点眼・点耳・点鼻も外用として誤投与が起きやすい(容器の取り違え)

    点眼

    • 1回1滴で十分(あふれた分は無効)/複数薬は5分程度あける
    • コンタクトレンズ:装用可否、保存剤、装用再開までの時間
    • 眼圧下降薬等:全身吸収を減らすための涙嚢圧迫(可能なら)

    坐薬(直腸投与)

    • 排便後に挿入(排便刺激で早期排出しやすい)
    • 先端方向(通常は尖った方から)・挿入深さ、体位の工夫
    • 直後の排出・溶け残り、粘膜刺激/出血に注意
    • 解熱鎮痛坐薬:短時間の反復投与で過量になりやすい(総量管理)

    注射(皮下・筋肉内)

    • 製剤の種類確認:製剤ごとに投与経路が決まっている
    • 皮下:部位ローテーション、硬結・皮下出血、自己注射では手技・針廃棄
    • 筋注:禁忌部位・血管/神経損傷、抗凝固療法中は出血リスク(適応確認)
    • 施行後観察:アナフィラキシー、血圧低下、局所腫脹・疼痛

    静脈注射・点滴

    • ルート確認:末梢/中心、輸液ポンプ設定、投与速度、希釈、投与順序
    • 配合変化:混注可否、ライン共有の可否(Ca含有輸液×リン酸等)
    • 漏出(血管外漏出):疼痛、腫脹、発赤を早期発見(抗がん薬は特に)→対応手順を共有
    • 電解質製剤(K、Mg等):急速投与で不整脈リスク(速度・濃度・心電図/バイタル)
    • フィルター必要薬、遮光必要薬の有無(例:一部抗がん薬、アムホテリシンB製剤等)
    • 投与中・投与後の観察:発熱、悪寒戦慄、発疹、呼吸困難、血圧変動

    経管栄養・経管投与(胃管/腸管:PEG含む)

    • 錠剤粉砕の可否(徐放・腸溶は原則不可)/閉塞リスクの高い薬は分割投与
    • 投与手順:前後フラッシュ(白湯)+薬剤は1剤ずつ(混ぜない)
    • 栄養剤との相互作用:吸着/キレート(例:一部抗菌薬、レボチロキシン等)で投与間隔調整
    • 位置確認・誤嚥リスク、下痢・便秘、残量確認(施設手順に従う)

    持続皮下注(シリンジポンプ等:緩和領域など)

    • 薬剤の配合可否、濃度、投与速度の確認
    • 皮下留置部位の疼痛・硬結・漏れ、ライン閉塞
    • 交換時刻と残量、ダブルチェック(麻薬・鎮静薬は特に)

    参考:よくある誤薬パターン(チェックリスト)

    • 規格違い(mg/単位/mL)・別経路(点眼と点耳、外用と内服)・貼付の重複
    • 粉砕不可薬の粉砕、経管での閉塞、吸入手技不良
    • 点滴速度設定ミス、混注/配合変化、漏出の見逃し