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注意が必要な一般名処方/放出制御型製剤①

調剤するときに注意が必要な一般名処方には、どのようなものがありますか?
A: 放出制御型製剤の中には、見間違えやすいものがありますので、注意が必要です。
 

一般名処方とは

処方する時の薬名については、こちらにもまとめていますので、よろしければご参照ください。

一般名処方の医薬品を調剤する時の注意点

薬局では、一般名処方された医薬品から、どの薬剤を調剤したら良いかを判断します。
一般名コードは、薬価基準収載医薬品コードの上9桁に続いて、「ZZZ」の3桁がつけられています。
一般名処方の場合、基本的に、この薬価基準収載医薬品コードの上9桁が共通する医薬品を調剤することが可能です。
 

注意が必要な一般名処方

放出制御型製剤

ニフェジピン徐放錠

(先発医薬品)アダラート
 
ニフェジピン製剤のうち、先発品「アダラート 」に対応する製剤には、1日3回服用するカプセル剤(軟カプセル)と、錠剤があります。
錠剤は、2種類の放出制御型製剤があります。
  • 12時間持続:1日2回服用・「L錠」
  • 24時間持続:1日1回服用・「CR錠」/「徐放CR錠」
 
一般名マスタに記載されている一般名をみると、この製剤特性は、最後にカッコ書きで記載されています。
12時間持続が、L 錠
24時間持続が、CR 錠 に相当します。
 
一般名コード一般名
2171014G1ZZZ【般】ニフェジピン徐放錠10mg(12時間持続)
2171014G3ZZZ【般】ニフェジピン徐放錠10mg(24時間持続)
一般名コード一般名
2171014G2ZZZ【般】ニフェジピン徐放錠20mg(12時間持続)
2171014G4ZZZ【般】ニフェジピン徐放錠20mg(24時間持続)
一般名コード一般名
2171014G5ZZZ【般】ニフェジピン徐放錠40mg(24時間持続)
薬効分類番号を見ると、「12時間持続」と「24時間持続」では、9桁目が違います。
「24時間持続」製剤と、「CR錠」を比較すると、9桁目までは同じであり、変更調剤可能であることがわかると思います。
 
薬局ヒヤリ・ハット事例を見ると、レセプト入力時に、「12時間持続」製剤と「24時間持続」製剤の入力間違いなども発生しており、十分に注意して確認する必要があります。
 
なお、関連する先発品について、一部品目は、販売中止になりました。  「アダラート L 錠」は2020年12月に販売中止  「アダラートカプセル」は2019年11月に販売中止
製剤の特徴: アダラート CR 錠・・「有核二層錠」 ・内核錠:素錠・・・放出速度が速やか ・外層部:侵食性マトリックス・・・一定速度で放出 ・表面:フィルムコーティング(水溶性基剤)
 

ニフェジピン徐放カプセル

(先発医薬品)セパミット R
 
ニフェジピン製剤のうち、先発品「セパミット 」に対応する製剤には、以下の製剤があります。
  • セパミット細粒 1%:1日3回
  • セパミット R 細粒 2%:1日2回
  • セパミット R カプセル 10, セパミット R カプセル 20:1日2回
 
細粒には、速溶性の製剤(細粒)と、持効性の製剤(R 細粒)の2種類があります。
厚労省一般名処方マスタに掲載されているのは、「【般】ニフェジピン細粒1%」のみで、一般名コードは「セパミット細粒1%」に対応しています。
 
持効性の製剤(R 細粒)の方ではありません。
他のページで説明したように、「厚労省一般名処方マスタ」には掲載されていない場合でも、独自のマスタで処方される場合があります。
 
細粒と持効性の製剤(R 細粒)は、成分の含量が、1% と 2% で違いますので、この点は見分けるヒントになります。
 
一般名コード一般名
2171014C1ZZZ【般】ニフェジピン細粒1%
一般名コード品名
2171014C1044セパミット細粒1%
2171014C2032セパミット-R細粒2%
一般名コード一般名
2171014N1ZZZ【般】ニフェジピン徐放カプセル10mg(12時間持続)
2171014N2ZZZ【般】ニフェジピン徐放カプセル20mg(12時間持続)
製剤の特徴: セパミット顆粒 ・細粒剤(固体分散体)・・・ニフェジピンの溶解性を高めた ※服用後、4分で最小有効血中濃度に到達する
製剤の特徴: セパミット R 顆粒 ・顆粒・・・小腸の pH で溶ける
製剤の特徴: セパミット R カプセル ・速溶性顆粒・・・胃で溶ける ・遅溶性顆粒・・・小腸の pH で溶ける
 
 

テオフィリン徐放錠

(先発医薬品)
  • テオドール
  • テオロング
  • ユニコン
  • ユニフィル LA
 
厚労省一般名処方マスタに掲載されているテオフィリン徐放錠には、
  • 徐放錠(12~24時間持続)
  • 徐放錠(24時間持続)
の2種類があります。規格については、100mg, 200mg は両方、400mg は24時間持続製剤のみがあります。
 
一般名コード一般名
2251001F2ZZZ【般】テオフィリン徐放錠100mg(12~24時間持続)
2251001G3ZZZ【般】テオフィリン徐放錠100mg(24時間持続)
一般名コード一般名
2251001F3ZZZ【般】テオフィリン徐放錠200mg(12~24時間持続)
2251001G1ZZZ【般】テオフィリン徐放錠200mg(24時間持続)
一般名コード一般名
2251001G2ZZZ【般】テオフィリン徐放錠400mg(24時間持続)
 
先発医薬品を例に挙げて、一般名処方マスタとの対応を見ていきます。
  • 「12〜24時間持続」:テオドール、テオロング
  • 「24時間持続」:ユニコン、ユニフィル LA
 
製品名を見ただけでは、判別しずらいので、注意が必要です!
テオドールやテオロングは、気管支喘息に対しては1日1回服用、他の適応症には、1日2回服用します。ユニコン、ユニフィル LA は、1日1回服用する薬剤です。
「ロング」とつくと、長く効くようにイメージしてしまいますが、「ユニ」が「一つの」という意味であることから、正しく理解しておきましょう。
2251001F2ZZZ【般】テオフィリン徐放錠100mg(12~24時間持続)
2251001F2115テオドール錠100mg
2251001F2050テオロング錠100mg
2251001G3ZZZ【般】テオフィリン徐放錠100mg(24時間持続)
2251001G3036ユニコン錠100
2251001G3044ユニフィルLA錠100mg
 
2251001F3ZZZ【般】テオフィリン徐放錠200mg(12~24時間持続)
2251001F3081テオドール錠200mg
2251001F3049テオロング錠200mg
2251001G1ZZZ【般】テオフィリン徐放錠200mg(24時間持続)
2251001G1025ユニコン錠200
2251001G1076ユニフィルLA錠200mg
 
また、一般名処方のときは、対応する後発医薬品から個別の製品を選択するので、後発医薬品の名称を確認しておきましょう。
  • テオフィリン100mg徐放錠 2251001F2
  • テオフィリン100mg徐放U錠 2251001G3
 
(※会社の屋号は省略し、9桁のみ記載)
 
「徐放錠」と「徐放 U 錠」の2種類があります。
薬効分類番号を見ると、
  • 徐放錠:(12~24時間持続)
  • 徐放U錠:(24時間持続)
とわかります。
 
1日1回投与(Uni)の「U」と理解すると、間違いにくいです。