医療用医薬品供給状況 まとめ(R6年5月22日現在)
医療用医薬品供給状況
「医療用医薬品の供給不足に係る報告について」(令和6年3月28日付け通知)に基づき、限定出荷や供給停止等の供給不足の発生について、製造販売業者から供給状況報告を、厚生労働省がまとめて公開しています。
令和6年5月22日現在の情報についてまとめてみました。
薬効分類ごとのまとめ
元のデータは、個別の医薬品ごとにデータが記載されています。当然必要なデータなのですが、品目数があまりにも多いため、全体での傾向を掴むことが難しいです。そこで、薬効分類ごとに供給状況をまとめました。
同薬効分類群の中で、「供給停止」の品目数の割合が大きかったものは、下記の通りです。
通常出荷 | 限定出荷 | 出荷停止 | 出荷停止の 品目の割合 | |
---|---|---|---|---|
サルファ剤 | 5 | 3 | 7 | 47% |
抗毒素類及び抗レプトスピラ血清類 | 6 | 5 | 45% | |
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用するもの | 26 | 25 | 29 | 36% |
刺激療法剤 | 4 | 2 | 33% |
サルファ剤
薬価削除品目が7品目あるため、そのために、出荷停止割合が増加したと見られます。
抗毒素類及び抗レプトスピラ血清類
薬価削除品目が5品目あるため、そのために、出荷停止割合が増加したと見られます。
主としてグラム陽性菌,マイコプラズマに作用するもの
出荷停止29品目について
- アジスロマイシン
- クラリスロマイシン
- ジョサマイシン
- ロキシスロマイシン
エリスロマイシン・スピロマイシン以外のマクロライド系薬剤は、どれかの製品が出荷停止であるという現状です。
- アジスロマイシン
内服薬では、先発品以外、後発品は全て、「限定出荷」または「出荷停止」状態です。
- クラリスロマイシン
ドライシロップは、全て、「限定出荷」または「出荷停止」
錠剤は、通常出荷はごく一部で、他は、「限定出荷」または「出荷停止」
- ジョサマイシン
全て、薬価削除のため供給停止
- ロキシスロマイシン
5品目のうち、3品目が供給停止(行政処分を含む)、2品目が限定出荷
刺激療法薬
刺激療法薬にはブシラミンと金チオリンゴ酸ナトリウムの2品目があり、ブシラミンの後発医薬品が、2製品中2製品が薬価削除のため供給停止だったため、出荷停止割合が増加しました。(他は通常出荷)
通常出荷 | 限定出荷 | 出荷停止 | 出荷停止の 品目の割合 | |
---|---|---|---|---|
主としてグラム陰性菌に作用するもの | 26 | 2 | 11 | 28% |
鎮咳去たん剤 | 6 | 23 | 11 | 27% |
健胃消化剤 | 33 | 5 | 19 | 27% |
合成抗菌剤 | 85 | 19 | 34 | 24% |
鎮暈剤 | 14 | 6 | 6 | 23% |
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの | 90 | 188 | 82 | 23% |
抗ヒスタミン剤 | 31 | 17 | 14 | 23% |
その他の化学療法剤 | 58 | 6 | 18 | 22% |
X線造影剤 | 163 | 13 | 47 | 21% |
混合ビタミン剤(ビタミンA・D混合製剤を除く) | 10 | 13 | 6 | 21% |
主として抗酸菌に作用するもの | 8 | 0 | 2 | 20% |
他に分類されない治療を主目的としない医薬品 | 20 | 0 | 5 | 20% |
男性ホルモン剤 | 4 | 1 | 20% | |
鎮けい剤 | 41 | 14 | 14 | 20% |
非常に多数の品目が、いまだに供給状況が改善できずにいます。抗菌薬や鎮咳去痰薬は、需要増のため出荷調製がいまだに継続しています。
成分ごとに見ると、出荷停止の品目があるのは、744成分。
出荷停止の製品が2桁以上と品目数が多く、影響が大きいものを以下に挙げます。(パーセンテージは、出荷停止品目の割合)