バイオ後続品

バイオ後続品とは、新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質、安全性及び有効性を有する医薬品のことです。

「後発医薬品」との違い

バイオ後続品は、バイオ医薬品版の後発医薬品といえます。なぜ、後発医薬品と区別する必要があるのでしょうか?
バイオ医薬品とは、微生物や動物細胞等で生産し、それを高度に精製して作られています。生体による生合成過程を製造に利用していることから、その有効成分は、構造が複雑であり、タンパク質翻訳後の修飾等に伴う不均一性を含むため、先行バイオ医薬品とバイオ後続品との同一性を保証することは難しいです。
一方、従来の先発医薬品と後発医薬品の有効成分は、同一の化学構造を持っているため、先発医薬品と有効成分が「同一であること」を保証することができます。
したがって、バイオ後続品の品質管理については、後発医薬品とは異なるアプローチが必要となります。そのため、「バイオ後続品」という区分が設けられており、専用の指針が作成されています。バイオ後続品は、先行バイオ医薬品との、「同等性/同質性(類似性)」を評価する試験が行われています。
 
また、バイオ後続医薬品を処方するにあたり、患者の不安や疑問に丁寧に対応する必要があることから、令和4年診療報酬改定で「バイオ後続品導入初期加算」が設けられました。これは、医師から患者に対し「バイオ後続品の有効性や安全性などについて十分な説明を行う」ことを評価するものです。「外来腫瘍化学療法診療料」「在宅自己注射指導管理料」「外来化学療法加算」に対する加算として定められています。
 
参考
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長:「「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」について」、薬生薬審発 0204 第1号、令和2年2月4日.http://www.nihs.go.jp/dbcb/TEXT/yakuseiyakushinnhatsu_0204_1.pdf
 

バイオ後続品の位置付け

ガイドラインでどのように捉えられているのかを見てみましょう。

関節リウマチ診療ガイドライン2020

推奨24 既存治療で効果不十分の中または高疾患活動性を有する RA 患者に、先行バイオ医薬品と同様にバイオ後続品投与を推奨する (推奨の強さ:強い、エビデンスの確実性:高、パネルメンバーの同意度:8.24)
推奨25 先行バイオ医薬品を使用中の RA 患者において、バイオ後続品投与への切り替えを推奨する(条件付き) (推奨の強さ:弱い、エビデンスの確実性:非常に低、パネルメンバーの同意度:7.59)
先行バイオ医薬品の投与中に、バイオ後続品に切り替えた場合でも、先行バイオ医薬品を継続した時と、有効性や安全性は同等と期待できるため、推奨されています。
ただし、一部の症例では、切り替えにより症状が悪化したことも報告されています。症状の悪化の原因として、一部の症例では、ノーシーボ効果(この薬は効かないと思い込むことで薬の効果がなくなること、またはなくなるように感じること)が影響したためと示唆されています。
このように、バイオ後続品を使用することは、
  • 先行バイオ医薬品を投与継続することと同等の有用性が認められる
  • 安価であり、医療経済の面からはメリットがある
と取られられていますが、デメリットとして
  • 一部の症例で、切り替えにより、効果の消失・副作用の出現などが報告されている
  • 発売開始から日が浅く、長期使用の安全性は確立されていない
点を考慮して、推奨の強さは「弱い」とされ、条件付きでの推奨とされています。
その条件とは、
  • 先行バイオ医薬品の使用により RA の疾患活動性が寛解、または、低疾患活動性と安定していること
に加えて、
  • RA 患者自身が、切り替えを希望していること
という条件を満たした時に、切り替えを考慮して良い、とされています。
 

薬局での調剤

アメリカや EU では、変更調剤が可能かどうか、”interchageable” について法律で定められています。
日本では、バイオ後続品への変更調剤について、特別な規則はないため、他の後発医薬品と同様に、診療報酬上の決まりに従って対応します。
 
 

バイオセイムとバイオシミラー

バイオセイム
バイオ医薬品のオーソライズドジェネリック(AG)
バイオシミラー
バイオ医薬品の後発医薬品