糖尿病慢性合併症/がん

リスク

糖尿病は全癌,大腸癌,肝臓癌,膵臓癌のリスク増加と関連していた
 
根拠:日本における多目的コホート研究 [JPHC 研究]
これまでに糖尿病と診断されたことのある日本人においては、何らかの癌を罹患するリスクが男性では 1.27 倍(95%信頼区間 1.14―1.42),女性では 1.21 倍(95%信頼区間 0.99― 1.47)
メタボリックシンドロームは、男性では肝臓癌、女性では膵臓癌リスク上昇と関連していた
 
根拠:メタアナリシス
糖尿病は男性で 1.14(95%信頼区間 1.06― 1.23),女性で 1.18(95%信頼区間 1.08―1.28)の癌リスク上昇と関連していた
 
[1]
 

糖尿病治療薬と発癌リスク

癌の発症リスクが懸念されているのは、ピオグリタゾンのみ
 

癌治療と糖尿病

血糖値が高いと、手術が困難になる場合がある
→手術前後や抗がん薬治療中の血糖コンロトールが重要
  • 化学療法薬:一部血糖値に影響するものがある
  • 悪心や嘔吐予防に用いるステロイド薬:血糖値を上昇させる
  • 免疫チェックポイント阻害薬:劇症1型糖尿病の診断基準を満たす糖尿病を発症するケースがある
 

機序

インスリン抵抗性と、それに伴う高インスリン血症状・高血糖・炎症などが、関連すると想定されている。
糖尿病患者における食事療法・運動療法・禁煙・節酒は、癌リスク減少につながる可能性がある。
  • 2型糖尿病と癌に共通の危険因子
    • 加齢
    • 男性
    • 肥満
    • 低身体活動量
    • 不適切な食事(赤肉・加工肉の過剰摂取、野菜・果物・食物繊維の摂取不足など)
    • 過剰飲酒
    • 喫煙
 
 
参考資料
[1] 糖尿病と癌に関する合同委員会報告(http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=43