薬物性味覚障害
初期症状
「味を感じにくい」、「嫌な味がする」、「食べ物の味が変わった」「食事がおいしくなくなった」
(医療関係者向け)
(患者・一般の方向け)
2021年10月15日 第13回重篤副作用総合対策検討会 議事録
日本口腔科学会で担当している薬物性味覚障害について報告させていただきます。
このマニュアルが策定されたのが約10年前ということで、その間、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬といった新薬が本邦においても数多く使用されるようになりました。それに伴いまして、それらの薬剤による味覚障害などの有害事象の報告が見られるようになってきましたので、これらの新薬による有害事象のデータを基にしたアップデートを今回行ったということでございます。
具体的な改定点に関しては、資料2-23を御覧いただきながら、お話しさせていただきます。
まず、6ページですけれども、「1.味覚障害とは?」という患者向けの概説の欄ですけれども、原因となる薬剤に関して、免疫抑制剤を追記させていただきました。
続きまして、8ページは医療従事者に対してですけれども、「(3)患者側のリスク因子」のマル2、年齢の項に3剤以上を内服使用している高齢者の味覚閾値が上がる可能性が示唆されているというデータが出ておりますので、それを追記させていただいております。
続きまして、9ページの「2.副作用の概要」の「(1)自覚症状」と「(2)他覚症状」において、抗がん剤のレジメンによって生じる可能性を追記いたしました。
(4)についても、薬剤相互作用の可能性について追記させていただきました。
続きまして、12ページの「4.判別が必要な疾患と判別法」の項目に、味覚障害の原因別頻度に関する新たなデータが出されましたので、それを追記しております。
14ページの「5.治療方法」の項目で、亜鉛剤や人工唾液、漢方を利用した対症療法について新たに加えさせていただきました。
さらに別添の表におきまして、分子標的薬等の新薬で味覚障害を生じ得る医薬品を日本医薬情報センターのデータベースを基に新たに追加しております。このように、10年前と比べて新薬が出ておりまして、それに対する薬剤性味覚障害の情報が増えましたので、それをアップデートさせていただくような形で改定版案を作成いたしました。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
2011年2月16日 第7回重篤副作用総合対策検討会 議事録
それでは、薬物性味覚障害のマニュアル(案)について、概要を説明いたします。資料1-1の5、6頁をご覧ください。薬を飲んだことによって味を感じなくなる、あるいは一部の味が低下する味覚障害が起こることがあり、薬物性味覚障害と呼ばれます。高齢者に多く見られ、原因薬剤としては、降圧剤、消化性潰瘍治療薬、抗うつ薬、抗菌薬、抗がん剤などがあります。症状としては、「味を感じにくい」「嫌な味がする」「食べ物の味が変わった」「食事がおいしくなくなった」などの自覚症状が見られます。イラストは7頁にありまして、まずい、味を感じないといったことをイラストとして表現しております。概要については以上です。なお、本マニュアルを作成いただいた日本口腔科学会より、東京医科歯科大学大学院顎顔面外科学教授の天笠先生に参考人としてご出席いただいております。事務局からは以上です。
○松本座長 天笠先生から、補足がありましたらお願いいたします。
○天笠参考人 いまご説明いただきましたように、薬剤性味覚障害、薬物による副作用としての味覚障害についてまとめさせていただきました。最初に「患者の皆様へ」ということで、ご覧のように書いております。特に、黄色の枠に入っておりますが、「甘い」「塩からい」「酸っぱい」「苦い」などの味がわからないことを味覚障害といいます。何らかの薬を飲んだことによって味覚障害が起こることがあり、高齢者に多く見られ、薬剤性味覚障害と呼ばれます。もし薬を飲んで次のような症状が出た場合は、医師あるいは薬剤師に相談してください。「味を感じにくい」「嫌な味がする」「食べ物の味が変わった」「食事がおいしくなくなった」というようなことでございます。
味覚障害についての説明は、ここに書いてあるとおりですが、味覚障害について、患者への説明と早期発見、早期対応については6頁です。また、8頁に「医療関係者の皆様へ」として、早期発見と早期対応のポイントについて、先ほどの患者のものと同じようではありますが、詳細に記載させていただきました。早期に認められる症状について丸1から丸6まで書いてあります。例えば丸6で、すべてこれが味覚障害に通じるかというと、必ずしもそうではありませんが、その誘因となり得るものとしてあげています。丸1から丸5はよくあることで、丸6は参考ということです。そのほか、副作用の好発時期、患者側のリスク、これらについても、どのようなものがあるか、誘因となる疾患などについては丸3・丸4が薬剤の種類の数で書いています。そのほか、推定原因医薬品、医療関係者の対応のポイント等を細かく書いております。
副作用の概要は先ほどと同じ内容ですが、味覚障害についての記載を一般的なもので書いております。自覚症状、他覚症状としてあります。また、検査については10頁にあるとおりで、ご覧のような検査を行うということです。そのほか、発症機序については、11頁に簡単に記載しています。また、大事なのは副作用の判別基準で、3として書いております。12頁には、判別が必要な疾患と判別法、これらについての特徴あるいは鑑別すべき内容を具体的に記載しました。また、13頁は治療方法について書いていますが、これがすべてではございませんので、このような治療が通常なされるということです。
典型的な症例につきまして、14頁に2例ほど書いてあります。1例目は、ステロイドのデキサメタゾン軟膏による味覚障害と思われるものです。2例目は、記載の吸入薬によって起こった事例です。あとは引用文献・資料で、16頁の表1、添付文書に苦味の記載がある薬剤、17頁の表2、添付文書に味覚障害・味覚異常の記載のある薬剤が掲載してあり、たくさんの薬があります。最後のほうには、参考1として副作用報告件数、また28頁にも国際医薬用語集日本語版における主な関連用語一覧ということで記載させていただいております。委員の先生方、また薬剤師会の先生方には、ご協力をいただきましてありがとうございます。