発熱性好中球減少症 (FN)
発熱性好中球減少症
定義
- 好中球減少症:1,500 /μL 未満
- 発熱の定義
- 「1回の口腔内温38.3℃以上または口腔内温38℃が1時間以上持続する状態」(ISDA)
- 日本では「1回の腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)」が発熱と定義された
- FN の定義
- 日本臨床腫瘍学会のガイドライン
- 「好中球数が500 /µL未満、または1,000 /µL未満で48時間以内に500 /µL未満に減少すると予想される状態で、かつ腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合」
FN の問題点
FNは避けるべき副作用である。なぜか?
- 治療関連死のリスクが増加
- FN が起こると治療強度を落とさざるを得ない→予後改善に悪影響
- FN が起こると入院期間が延長する
検査・観察項目
感染巣がないか症状の問診および診察
感染しやすい場所がある場合、その場所の観察や検査:カテーテル等
重篤化リスク評価
- MASCCスコア
- 好中球減少の程度と期間を考慮していないこと にも注意が必要
- このスコア単独で評価すべきではない
- CISNE(Clinical Index of Stable Febrile Neutropenia)スコア
- 固形癌を対象にしたスコアだが、これが用いられることがある
FNの治療、予防
重症化するリスクが高い FN 患者に対して、β-ラクタム薬の単剤治療は推奨されるか
A. FN に対する初期治療として、抗緑膿菌活性を持つ β-ラクタム薬の単剤治療が推奨される。
日本臨床腫瘍薬学雑誌 Vo. 11, (2019)
薬剤の影響
経口抗菌薬
重篤化リスクが低い FN 患者(全身状態が良い、臓器機能が保たれている、好中球減少期間が10日以内と予想される)では、経口抗菌薬による治療は可能
- フルオロキノロン単剤
- よく行われているが、フルオロキノロン耐性菌増加に注意が必要
- シプロフロキサシン+アモキシシリン/クラブラン酸
- エビデンスは最も多い
- シプロフロキサシン:
- NCCN ガイドラインでは、500〜750 mg を12時間ごと
- 日本の保険診療で認められているのは、200mg を1日3回
- アモキシシリン/クラブラン酸
- NCCN ガイドラインでは、875mg を12時間ごと
- 日本の保険診療で認められているのは、250/125 mg 錠を1日3〜4回