糖尿病慢性合併症/骨折
リスク
糖尿病においては、大腿骨近位部骨折のリスクは明らかに増大し、椎体形態骨折のリスクが上昇する可能性がある [1]
糖尿病における大腿骨近位部骨折のリスク
根拠:海外のメタアナリシス
対象:糖尿病
非糖尿病と比較して、
- 1型糖尿病:約6.9倍
- 2型糖尿病:約1.4倍
155
根拠:海外のメタアナリシス
対象:2型糖尿病
非糖尿病と比較して、
- 2型糖尿病:1.7倍
830
糖尿病における椎体骨折のリスク
約2/3が痛みを伴わない形態骨折
→X線での確認が必要
根拠:日本の研究
対象:2型糖尿病
非糖尿病と比較して、
- 男性:4.7倍
- 女性:1.9倍
続発性骨粗鬆症のリスク
・内分泌疾患(副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、1型・2型糖尿病、性腺機能低下症)
・経口ステロイドを3カ月以上使用している
・COPD
・CKD
・アルコール多飲
・長期臥床、廃用症候群
機序
骨量(BMD)の低下ではなく、骨質の低下による割合が大きいと考えられている
- 骨の材質特性の劣化
- 骨組織中に終末糖化産物(AGEs)の一種(ペントシジン架橋)が増加し、骨質を劣化している可能性が示唆されている
- 構造特性の劣化
- 骨芽細胞の機能抑制・骨形成低下
- インスリン抵抗性は、骨芽細胞においてインスリンシグナルの増強により、FOXOX1 を不活化して酸化ストレスを増強し、骨芽細胞分化を抑制して骨形成を低下させる可能性がある
- 皮質骨多孔性増大
- 糖尿病患者の長管骨の構造を解析した研究で、皮質骨の多孔性が増大し、長管骨の構造劣化が示唆された
治療法
肥満
血糖コントロールのためだけでなく、骨病変の改善にもつながる
治療法:原発性骨粗鬆症に対する薬物治療開始基準に準じる
参考