うっ血性心不全(令和元年9月改定)

うっ血性心不全

 

重篤副作用疾患別対応マニュアル

厚生労働省  >重篤副作用疾患別対応マニュアル (URL)  ※改定前の版も閲覧可能
PMDA  >重篤副作用疾患別対応マニュアル(医療関係者向け)(URL)  >重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け)(URL)
厚生労働省 >重篤副作用総合対策検討会 (URL)
 
第11回 重篤副作用総合対策検討会 2019年7月18日(令和元年7月18日)
日本循環器学会に、「うっ血性心不全」の改定作業をご依頼いただきました。この改定作業は8年ぶりになりますが、その背景には2つの事情があるかと思います。一つは、2017年に日本循環器学会/日本心不全学会から、「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」として改訂されました。約8年前には、急性心不全と慢性心不全には別々のガイドラインがありましたが、それらを統合する形で、今回大幅に改定されました。もう一つは現在、臨床の現場で非常に問題になっている、がん化学療法にともなう心血管障害が大きな問題となっているという点です。特に様々な分子標的薬で心血管障害が生じ、中でもうっ血性心不全を起こすがん治療薬に対する対応が非常に重要になってきています。これらの点に応じて、内容について加筆修正を行った次第です。

1.早期発見と早期対応のポイント

(4)推定原因医薬品

  1. 薬理作用として心不全を生じる薬剤:
心抑制作用を有するβ遮断薬、徐脈化作用や催不整脈作用を有する抗不整脈薬などがある。
  1. 心筋障害をきたす薬剤:
心毒性作用を有する抗がん剤として、アントラサイクリン系薬剤の他に、HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2)陽性乳がんあるいは胃癌の治療に使われる HER2 阻害薬、多発性骨髄腫の治療に使われるプロテアソーム阻害薬アルキル化薬代謝拮抗薬微小管阻害薬などがある。また、心筋炎の引き金となるアレルギ ー機序を有する薬剤(必ずしも、特定の薬剤に起因するとは限らない)などがある。
  1. 血管障害をきたす薬剤:
血管毒性を有する抗がん剤として、血管新生阻害薬チロシンキナーゼ阻害薬などがある。
  1. 免疫チェックポイント阻害薬:
免疫チェックポイント分子である cytotoxic T lymphocyte antigen 4 (CTLA-4)や programmed death 1(PD-1)、PD ligand 1 (PD-L1)に対する抗体製剤がある。
  1. 循環血液量を増大する(前負荷増大)薬剤:
副腎皮質ステロイド薬、ピオグリタゾン、非ステロイド性抗炎症薬(解熱消炎鎮痛薬:NSAIDs)などが挙げられる。