事前合意プロトコール
目次:
背景
- 処方箋応需にあたり、不明な点を処方医師・歯科医師に疑義照会することは義務(薬剤師法第24条)である
- 疑義照会にかかる時間が、患者の待ち時間の増大や医療従事者の負担につながっている
- 疑義のうち、含有規格や剤形など、形式的な疑義については、事前に定めたプロトコールに沿って変更することは、現行の制度でも可能であることが、医政局通知 [1] で示されており、タスク・シフト/シェアの推進の観点からも、推進されている [2] [3]
- 現在は主に医療機関ごとに個別に行われているが、地域で複数の医療機関と、事前に定めたプロトコールに基づいて調剤時に変更可能な事項について合意書を取り交わし、問い合わせを簡素化する取り組みが行われているところもある
1) 厚生労働省医政局長通知:「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」(医政発0430第1号、平成22年4月30日)
1)薬剤師を積極的に活用することが可能な業務
以下に掲げる業務については、現行制度の下において薬剤師が実施することができることから、薬剤師を積極的に活用することが望まれる。
1 薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。
2 薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処方を提案すること。
3 薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと。
4 薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること。
2) 厚生労働省医政局長通知:「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」(医政発0930第 16号、令和3年9月 30 日)
3.現行制度の下で医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアが可能な業務 の具体例
3) 薬剤師
① 周術期における薬学的管理等
② 病棟等における薬学的管理等
③ 事前に取り決めたプロトコールに沿って行う処方された薬剤の投与量の変更等
(一部抜粋)
また、薬剤師が、医師・薬剤師等により事前に取り決めたプロトコールに基づき、 薬物療法を受けている患者に対する薬学的管理(相互作用や重複投薬、配合変化、 配合禁忌等に関する確認、薬剤の効果・副作用等に関する状態把握、服薬指導等) を行い、その結果を踏まえ、必要に応じて、服薬方法の変更(粉砕、一包化、一包 化対象からの除外等)や薬剤の規格等の変更(内服薬の剤形変更、内服薬の規格変 更及び外用薬の規格変更等)を行うことは可能である。こうした変更を行った場合、 医師、看護師等と十分な情報共有を行う必要がある。
なお、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医師と 協働して実施する必要がある。
④ 薬物療法に関する説明等
⑤ 医師への処方提案等の処方支援
⑥ 糖尿病患者等における自己注射や自己血糖測定等の実技指導
3) 医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会:「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会 議論の整理、令和2年12月23日
6.現行制度の下で実施可能な業務のうち特に推進するものについて
iii)薬剤師
・手術室・病棟等における薬剤の払い出し、手術後残薬回収、薬剤の調製等、薬剤の管理に関する業務
・事前に取り決めたプロトコールに沿って、処方された薬剤の変更(投与量・投与方法・投与期間・剤形・含有規格等)
・効果・副作用の発現状況や服薬状況の確認等を踏まえた服薬指導、処方提案、処方支援
4) 薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ:「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループとりまとめ ー薬剤師が地域で活躍するためのアクションプランー」、令和4年7月11日.
- 対物業務の効率化
(3) その他の業務の効率化
③院外処方箋における事前の取決め(プロトコール)に基づく問合せ簡素化
〇 一部の医療機関と一部の薬局(当該医療機関の処方箋を応需する薬局のうち、事前の取決めの締結を希望する薬局)の間では、処方箋中の疑義照会とは別に、事前の取決め(プロトコール)により内服薬の剤形変更(例:OD 錠⇔普通錠⇔散)、内服薬の規格変更(例:5mg2 錠⇔10mg1 錠)等に関する薬局から医療機関の医師への問合せを簡素化している。
○ 問合せ簡素化のプロトコールによる業務効率化は、医療機関の医師や薬剤師等の業務負担の軽減や、患者が必要な医薬品を速やかに受け取ることが可能となるなどの利点がある、病院薬剤師との連携(薬薬連携)の好事例である。このため、地域の薬剤師会が中心となり、病院薬剤師等と連携しながらその導入を推進していくべきである。
①厚生労働科学研究
寺田 智祐ら:「病院薬剤師へのタスク・シフト/シェア普及に対する阻害要因の把握とその解決に向けた調査研究」、令和4(2022)年度ー令和5(2023)年度
令和4(2022)年度:https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/164741
令和5(2023)年度:https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/170488
院外処方箋の問い合わせ簡素化プロトコル業務のガイドライン
外山 聡ら:「病院薬剤師へのタスク・シフティングの実態と効果、推進方策に関する研究」、令和2(2020)年度ー令和3(2021)年度
令和2(2020)年度:https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/148926
令和3(2021)年度:https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/158558
図 69 プロトコールで簡略化可能とした問い合わせ内容(棒グラフ) (令和3(2021)年度報告書)
日本医療薬学会
- 「プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)導入マニュアル」、ver.1、平成 28 年 3 月 26 日
日本病院薬剤師会
- タスク・シフト/シェアに関連する取り組み特設サイト(URL)
②各地の取り組み
- 病院と薬局
京都大学医学部附属病院 平成25年(2013年)10月開始
- 院外処方箋における問い合わせ簡素化プロトコール(URL)
- 当初、「疑義照会簡素化」という名称だったが、2021年に名称変更
対象医療機関:病院と近隣の薬局(11薬局から開始)
説明会+合意書
プロトコル:1種類
プロトコル | ||
---|---|---|
(1) 成分・用法・用量が同一の薬剤への変更調剤 | ||
① 銘柄変更 | ジャヌビア錠 50mg ⇄ グラクティブ錠 50mg | ○ |
② 剤形変更(外用剤は不可) | リリカカプセル 75mg ⇄ リリカ OD 錠 75mg | ○ |
③ 規格変更 | フェブリク錠 20mg 0.5T ⇄ フェブリク錠 10mg 1T | ○ |
(2) 半割・粉砕・混合 | ○(逆を後から追加) | |
(3) 医療上の必要性が認められる一包化調剤 | ○ | |
(4) 湿布薬や軟膏薬での規格変更 | 合計処方量が変わらない場合 | ○ |
(5) 一般名処方における調剤時の類似剤形への変更 | ○ | |
(6) 残薬に基づく処方日数の短縮 | ○ | |
(7) 配合剤 | 入院中に単剤になっていた場合、配合剤に戻す | 追加 |
(8) 乳酸菌製剤 | 抗菌薬併用の有無により耐性菌製剤か否か | 追加 |
(9) 本来処方されていない科から処方されたため重複投薬になっていた場合に削除 | 追加 | |
(10) 患者希望に基づいて、消炎鎮痛外用貼付剤の規格変更 | 追加 | |
(11) BP製剤の週1回・月1回製剤 | 追加 | |
(12) 外用薬の用法を口頭指示に基づいて追記 | 追加 |
「追加」:途中から追加された項目
加算
変更によって加算が発生する場合でも、初回は算定しない
対応内容の報告方法:FAX
- 調剤内容の記録:処方せんの備考欄に変更内容とともに「事前確認済み」と記載
- FAX:処方箋に変更内容を明記してFAX
- 医療圏での取り組み
川崎市薬剤師会(URL) 平成30年4月1日開始
- 疑義照会プロトコール(URL)
対象医療機関:川崎市薬剤師会(347薬局)と病院(17 病院+2クリニック)
プロトコル:1種類
プロトコル | ||
---|---|---|
(1) 成分・用法・用量が同一の薬剤への変更調剤 | ||
① 銘柄変更 | ジャヌビア錠 50mg ⇄ グラクティブ錠 50mg | ○ |
② 剤形変更(外用剤は不可) | リリカカプセル 75mg ⇄ リリカ OD 錠 75mg | ○ |
③ 規格変更 | フェブリク錠 20mg 0.5T ⇄ フェブリク錠 10mg 1T | ○ |
(2) 半割・粉砕・混合 | ○ | |
(3) 医療上の必要性が認められる一包化調剤 | ○ | |
(4) 軟膏・クリーム剤の規格変更 | 5g 2本↔️10g 1本 | ○ |
対応内容の報告方法:お薬手帳・FAX
- 調剤内容の記録:処方せんの備考欄に変更内容とともに「事前確認済み」と記載
- お薬手帳:
- お薬手帳に変更内容及び「事前確認済み事項に基づき変更」と記載
- 次回診察時に医師にお薬手帳を見せるように患者に説明する(医師への報告方法とする)
- お薬手帳を持参していない、もしくは、患者の手帳管理に心配を感じる場合は、本プロトコールの対象外
- お薬手帳以外にもファックス等で医師へ報告することも可とする
報告方法は、処方箋発行元医療機関ごとに指定
岐阜市薬剤師会(URL) 令和元年10月1日開始
- 事前合意プロトコル(URL)
対象医療機関:岐阜市薬剤師会(206薬局)と病院(13 病院+3診療所)
プロトコル:2種類
プロトコル1 | プロトコル2 | ||
---|---|---|---|
(1) 成分・用法・用量が同一の薬剤への変更調剤 | |||
① 銘柄変更 | ジャヌビア錠 50mg ⇄ グラクティブ錠 50mg | ○ | ○ |
② 剤形変更(外用剤は不可) | リリカカプセル 75mg ⇄ リリカ OD 錠 75mg | ○ | ○ |
③ 規格変更 | フェブリク錠 20mg 0.5T ⇄ フェブリク錠 10mg 1T | ○ | ○ |
(2) 一包化調剤 | ○ | ○ | |
(3) 残薬を確認した場合の処方日数および数量の変更 | 処方日数および数量をゼロにはしない 14 日分程度の薬を予備として確保 | ○ | ○ |
(4) ヒルドイドクリーム 0.3%単剤処方時にチューブ単位での調剤への用量変更 | ヒルドイドクリーム 0.3% 20g → ヒルドイドクリーム 0.3% 25g×1本 | ー | ○ |
参加条件:説明会参加+合意受諾
対応内容の報告方法
- 調剤した内容の記録:処方箋備考欄に「○○○○病院との事前合意による変更」と明記する
- 変更内容をお薬手帳に記載し、次回診察時に処方医に見せるよう患者に指導する
- 変更内容を処方医に速やかに必ず報告する
豊能・三島地区(大阪府)/豊能・三島薬薬連携協議会
- 調剤事前申し合わせ協定(URL)
対象医療機関:岐阜市薬剤師会(206薬局)と病院(21 病院+1クリニック)
プロトコル:1種類
- 処方医に確認することなく変更調剤することができるためプロトコルを適応しない
- 平成 24 年 3 月 5 日付け保医発 0305 第 12 号(厚生労働省保険局医療課長通知)(以 下「変更通知」という。)に記載されている事項
- 薬価基準に掲載されていない包装規格が処方箋に表示されている場合、処方箋に表 示されている包装規格と異なる包装の製剤に変えて調剤すること
プロトコル | ||
---|---|---|
(1) 成分・用法・用量が同一の薬剤への変更調剤 | ||
① 銘柄変更 | ジャヌビア錠 50mg ⇄ グラクティブ錠 50mg | ○ |
② 剤形変更(外用剤は不可) | リリカカプセル 75mg ⇄ リリカ OD 錠 75mg | ○ |
③ 規格変更 | フェブリク錠 20mg 0.5T ⇄ フェブリク錠 10mg 1T | ○ |
(2) アドヒアランス改善等を目的とした半割、粉砕、混合又は一包化 | ○ | |
(3) 薬歴上継続処方されている処方薬に残薬があるため、投与日数を調整(短縮)して 調剤すること(外用薬の本数変更も含む) | 薬剤を削除する必要がある場合は疑義照会の対象とする 処方日数の延長は不可 余裕を持って調整 | ○ |
(4) 外用薬の用法(適用回数、適用部位、適用タイミング等)が医師から口頭で指示されている場合に用法を追記すること。 | ○ | |
(5) 週1回又は月1回服用する製剤が、連日投与の他の薬剤と同一の日数で処方されて いる場合の処方日数の適正化(ビスホスホネート製剤、DPP4阻害剤に限る。) | ○ | |
(6) 薬事承認された用法以外の用法が処方箋に記載されている場合、承認されている用 法に変更(漢方薬、制吐剤、α-GI製剤、ビスホスホネート製剤、EPA製剤に限 る。) | ○ |
参加条件:説明会参加+合意受諾
対応内容の報告方法
- 調剤した内容の記録:
- 処方箋:協議会統一の印を備考欄に押印
- 薬歴:プロトコル適用の事実と項目番号を記録
- 「変更調剤報告書」を用いて各病院薬剤部にFAX
山口県周南医療圏
- 徳島市医師会病院
- 周南医療圏における疑義照会事前合意プロトコール(URL)
対象医療機関:徳山薬剤師会と病院(5病院)
プロトコル:1種類
- 処方医に確認することなく変更調剤することができるためプロトコルを適応しない
- 平成 24 年 3 月 5 日付け保医発 0305 第 12 号(厚生労働省保険局医療課長通知)(以 下「変更通知」という。)に記載されている事項
- 薬価基準に掲載されていない包装規格が処方箋に表示されている場合、処方箋に表示されている包装規格と異なる包装の製剤に変えて調剤すること
プロトコル | ||
---|---|---|
(1) 成分・用法・用量が同一の薬剤への変更調剤 | ||
① 銘柄変更 | ジャヌビア錠 50mg ⇄ グラクティブ錠 50mg | ○ |
② 剤形変更(外用剤は不可) | リリカカプセル 75mg ⇄ リリカ OD 錠 75mg | ○ |
③ 規格変更 | フェブリク錠 20mg 0.5T ⇄ フェブリク錠 10mg 1T | ○ |
(2) アドヒアランス改善等を目的とした半割、粉砕、混合又は一包化 | ○ | |
(3) 処方日数調整(追加・削減) | ○ | |
(4) 残薬調整 | ○ | |
(5) 販売移管などによる名称変更 | ○ | |
(6) 用法指示漏れの追記(適正化) | ○ |
参加条件:説明会参加+合意受諾
対応内容の報告方法
- 調剤した内容の記録:
- 必ず専用用紙を記入の上各医療機関へ FAX
工夫:注意喚起事例、Q&Aを掲載している
岩手県:県薬と県病薬が原案を作成し公開→各医療機関間で締結を推奨
プロトコールの対象範囲
事前合意プロトコール2024/10/3 11:472024/10/3 12:20プロトコールの遵守事項
患者の了承を得る
- 患者に不利益がない
- 患者の了承を得ている
- 患者に金銭的負担が発生又は増加する場合は、十分な説明と同意を得ている
処方医の指示を優先する
処方医の指示やコメントを優先すること。
処方せんに「変更不可」と指示がある場合は疑義照会プロトコールの対象外とする
対応した内容の記録
- 処方箋備考欄:「○○○○病院との事前合意による変更」と明記すること。
- 薬歴:
処方元への報告
- 変更内容を処方医に速やかに必ず報告すること。
- お薬手帳:
- 変更内容をお薬手帳に記載し、次回診察時に処方医に見せるよう患者に指導すること。
- 持参していない場合・・・プロトコル対応外・報告書で報告
- 報告書での報告(FAX)
遵守すべき法令等
本プロトコルの運用に際して、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則や生活保護法、 厚生局
の指導等を遵守して対応すること。
対象薬剤
- 麻薬については、本プロトコルの対象としないこと。
- 抗悪性腫瘍剤
対応に不安がある場合
- 不安がある場合、プロトコール対象外として疑義照会する
- 不明な点がある場合
- お薬手帳を持参していない場合:プロトコールの対象外としているところもある
プロトコールを行うための医療機関の条件
合意書を締結する
合意した医療機関一覧を公開することに同意する
一覧の公開
定期的に件数報告
合意の解消について
著しく患者に不利益を与えた場合、合意書の締結が解除される可能性がある
上記を了承した上で、合意書を締結する
プロトコールの対象外
プロトコールの対象外であり、疑義照会不要として実施することを明記
変更調剤可能な事項
「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」、保医発0305第12号、平成24年3月5日
- 銘柄名処方に係る処方薬について後発医薬品への変更調剤
例:ロキソニン錠60mg(変更不可ではない場合)→ロキソプロフェンNa錠「○○」60mg
- 一般名処方に係る処方薬について、調剤した薬剤の銘柄
例:【般】ロキソプロフェンNa錠60mg →ロキソプロフェンNa錠「○○」60mg
例:【般】アムロジピン錠5mg →アムロジピンOD錠「○○」5mg
同一である成分を含有する医薬品を調剤可能(含量規格が異なる後発医薬品、類似する別剤型の後発医薬品への変更の場合、同額以下の場合)
→調剤した薬剤の銘柄等を、処方箋発行元に情報提供する
ただし、当該保険医療機関との間で、調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否、方法、頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない。
厚生労働省保険局医療課長、厚生労働省保健局歯科医療管理官:「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」、保医発0305第12号、平成24年3月5日
「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」、事務連絡、令和6年3月15日.
薬価基準に掲載されていない包装規格が処方せんに表示されている場合、処方せんに表示されている包装規格と異なる包装の製剤に変えて調剤すること
例:マイザー軟膏 0.05% 50g 2本 ↔️マイザー軟膏 0.05% 100g 1本
【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% の規格
マルホ曰く、 ・【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% 92gはヒルドイドフォーム92gしか調剤できず選定療養対象外 ・【般】ヘパリン類似物質スプレー0.3% 100gは先発、後発ともに調剤可能で選定療養対象
プロトコールの対象
疑義照会が必要な項目だが、事前合意に基づき、問い合わせの簡素化が可能な項目の例
薬剤の変更
【注意】適応が異なる場合は変更不可
薬剤の変更/成分名が同一の銘柄変更
例:ジャヌビア錠⇔グラクティブ錠(併売の先発品間)
①87.0%
薬剤の変更/内服薬の剤型変更
例:アムロジン錠5mg →アムロジンOD錠5mg
例:ロキソニン錠60mg 1錠(粉砕) → ロキソニン細粒 10% 0.6g
①85.7%
薬剤の変更/含量規格
例:アムロジン錠2.5mg 1回2錠 →アムロジン錠5mg 1回1錠
①88.3%
配合錠
例:アムロジピン錠+アジルバ錠 →ザクラス配合錠
①ー
アドヒアランス改善等を目的とした半割、粉砕、混合
例:ワーファリン錠 1mg 1.5錠 →ワーファリン錠1mg 1錠+ワーファリン錠0.5mg 1錠
例:ドパストン錠 1 日 2.5 錠(朝 1 昼 1 夕 0.5)粉砕調剤
→ドパストン錠 1 日 2.5 錠(朝 1 昼 1 夕 0.5)粉砕せず
①81.8%
アドヒアランス改善等を目的とした一包化/一包化からの除外
①一包化:87.0%
外用薬の用法(適用回数、適用部位、適用タイミング等)
処方箋に記載が必要な事項について、医師から患者へ口頭で指示されている場合に、用法を追記する
以前に同じ処方がされたことがあることが記録から確認でき、今回の場合について患者に確認し、その時と同じ部位であると判断できた場合に、用法を追記する
例:モーラステープ L 40mg 7枚入り3袋 1日1回 →1日1回 腰 1日1枚
①42.4%
週1回・月1回服用薬剤の処方日数の適正化
例:他の薬剤が14日分処方されている場合に、
ベネット錠17.5mg(週1回製剤)1錠 分1起床時 14日分 →2日分
【ビスホスホネート製剤、DPP4阻害剤に限る】
①ー
処方日数の調整
- 次回受診日を確認し、薬剤が不足となる場合に、処方日数を延長することを可能とする
- (慢性疾患に対する処方であり、これまでに薬局で同処方内容を調剤している場合のみ)
- (7日分以内)
①19.5%
- 隔日投与の薬剤と定時投与の薬剤との整合性を図る場合に、調整可能とする
- 定時投与の薬剤が奇数日である場合、隔日投与の薬剤が余ってくるため、隔日投与の薬剤の残数に合わせて、定時投与の薬剤の処方日数を延長する(7日分以内)
①62.3%
残薬の調整
例1:ゾルピデム酒石酸塩錠5mg「○○」 28日分
→(6錠の残薬を確認した場合)22日分
例2:アンテベート軟膏3本 →(1本の残薬を確認した場合)2本
- 継続処方されている処方薬に残薬があるため(現物を確認した場合)、投与日数を短縮して調剤する(外用薬の減数も含む)
- ただし、処方箋の備考欄に指示がある場合、プロトコルの対象外であり、指示に従う
- 薬剤を削除する必要がある場合は、疑義照会の対象とする
①80.5%
薬事承認された用法に変更
例1:ツムラ葛根湯エキス顆粒 7.5g 分3 毎食後 →分3 毎食前(もしくは食間)
例2:プリンペラン錠5 1日3回 毎食後 →1日3回 毎食前
例3:アカルボース錠「○○」100mg 1日3回毎食後 →1日3回 毎食直前
例4:フォサマック錠5 1日1回 朝食後 →1日1回 起床時
例5:エパデールS600 1日3回 毎食後 →1日3回 毎食直後
- 薬事承認された用法以外の用法が処方箋に記載されている場合、承認されている用法に変更可能とする
- ただし、対象は、漢方薬、制吐剤、α-GI製剤、ビスホスホネート製剤、EPA製剤に限る
追加できそうな項目
(例1)
【般】ヘパリン類似物質スプレー 0.3% 92g →ヒルドイドフォーム 92g 100g 1本
「ヘパリン類似物質外用泡状スプレー」を調剤するためには、100g への疑義照会が必要だが、「【般】ヘパリン類似物質スプレー 0.3% 92g 」は100gに変更可能であることをプロトコルで定めておく
(例2)規格が特殊なものの変更
モイゼルト軟膏
規格は、10g と 28g
「28g 処方」の場合、在庫が「10g」のみであれば、「3本」に変更可能であることを、プロコトルで定めておく
今後の課題
分かりやすくする工夫
- 適応症が異なる薬剤の例示
- わかりにくい薬剤の例示
- 基礎的医薬品
- 局方品
- エリスロシン錠200mgとエリスロマイシン錠200mg「サワイ」の違い
- 簡単に報告できる仕組み
- 注意喚起事例、Q&Aの公開
Q&A
緊急性のある要件は、必ず電話で疑義照会してください
薬剤師法施行規則 第十六条(調剤録の記入事項)
(調剤録の記入事項)
第十六条 法第二十八条第二項の規定により調剤録に記入しなければならない事項は、次のとおりとする。ただし、その調剤により当該処方箋が調剤済みとなつた場合は、第一号、第三号、第五号及び第六号に掲げる事項のみ記入することで足りる。
一 患者の氏名及び年令
二 薬名及び分量
三 調剤並びに情報の提供及び指導を行つた年月日
四 調剤量
五 調剤並びに情報の提供及び指導を行つた薬剤師の氏名
六 情報の提供及び指導の内容の要点
七 処方箋の発行年月日
八 処方箋を交付した医師、歯科医師又は獣医師の氏名
九 前号の者の住所又は勤務する病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
十 前条第二号及び第三号に掲げる事項
変更内容はカルテ変更必要なのか必要なのか
変更調剤と医科疑義解釈2024/11/3 11:082024/11/3 11:11課題:変更内容が正しく理解され実行されているか、フォローアップが必要