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HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)

特長:
脂質異常症に対する中心的薬剤
 

作用機序

コレステロール合成過程の律速段階に関与するHMG-CoA還元酵素を阻害することで、コレステロール合成を阻害する

薬剤名

スタチンは、LDL-C 低下効果の強さによって分類される。ストロングスタチンは、LDL-C の低下率約30-40%、LDL-C の低下率約15-20%
ストロングスタチン
 
アトルバスタチン
アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール錠)
ピタバスタチン
ピタバスタチンカルシウム(リバロ錠)
ロスバスタチン
ロスバスタチンカルシウム(クレストール錠)
スタンダードスタチン
プラバスタチン
プラバスタチンナトリウム(メバロチン錠)
シンバスタチン
フルバスタチン
フルバスタチンナトリウム(ローコール錠)
補足:命名ステム
HMG-CoA還元酵素阻害薬は、「〜vastatin」という語尾がついている

代表的な副作用

スタチン関連筋症状
  • スタチン関連筋症状(statin-associated muscle symptoms、SAMS)とは、スタチンが原因となって出現するすべての筋症状
  • 症状:筋肉の痛み、つり、こわばり、違和感などあらゆる自覚症状が含まれる。これらの症状は体幹や近位優位の四肢に左右差なく、比較的大きな筋肉に出現する
  • 重篤な病態:
    • 横紋筋融解症
    • 四肢・体幹の筋力低下(ミオパチー)
横紋筋融解症
  • 横紋筋融解症とは、横紋筋が障害されることにより、筋組織が崩壊、壊死する状態
  • 非常に稀(スタチン服用者のうち0.001%とも言われる)だが、起こると重篤な副作用
  • 対策:初発症状の確認と血液検査
    • 初発症状:
      • 「手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む」、「手足がしびれる」、「手足に力がはいらない」、「こわばる」、「全身がだるい」、「尿の色が赤褐色になる」
    • 血液検査:血中CK上昇
  • リスク因子
    • 高齢者
    • 腎機能障害
    • 脱水
    • 血中濃度が上昇するような要因(相互作用など)

特徴

薬物動態学上の特徴

薬剤ごとに大きく異なる
代謝酵素トランスポーターの関与
アトルバスタチン脂溶性CYP3A4BCRP、P-gp、OATP1B1/1B3
ピタバスタチン脂溶性ほとんど関与なし (わずかに2C9)
ロスバスタチン親水性(2C9, 2C19) 関与は大きくない in vitro 試験のみBCRP、OATP1B1
プラバスタチン水溶性関与なし
シンバスタチン脂溶性CYP3A4BCRP、OATP1B1 (活性代謝物がOATP1B1の基質)
フルバスタチン脂溶性CYP2C9
禁忌
過敏症肝代謝能妊婦・妊娠可能性授乳婦
アトルバスタチン禁忌禁忌 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸禁忌禁忌
ピタバスタチン禁忌禁忌 重篤な肝障害又は胆道閉塞禁忌禁忌
ロスバスタチン禁忌禁忌 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸禁忌禁忌
プラバスタチン禁忌禁忌禁忌
シンバスタチン禁忌禁忌 重篤な肝障害禁忌禁忌
フルバスタチン禁忌禁忌 重篤な肝障害禁忌禁忌