page icon

抗パーキンソン薬

抗パーキンソン薬

3ステップで理解する臨床薬理

抗パーキンソン薬は、パーキンソン病の主な症状である振戦(ふるえ)、筋固縮、動作緩慢などを改善するために用いられます。

1. どんな薬?

  • 定義
    • パーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)は中脳黒質ドパミン神経の変性によるドパミン不足が原因とされる進行性運動障害疾患。
      抗パーキンソン剤は
    • 脳内ドパミン機能を補い、
    • 運動症状(振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害)を改善する
    • ために、用いられます。
  • 作用機序
    • ドパミンを補充する:L-ドパ(レボドパ)を経口投与→中枢でドパミンに変換
      ドパミン受容体を刺激する:ドパミン受容体(主にD2)を直接刺激
      レボドパと併用する:ドパミン代謝抑制系
      • MAO-B阻害:脳内ドパミン分解を抑制
      • COMT阻害:末梢・中枢でのL-ドパ(およびドパミン)代謝を抑制
      抗コリン作用薬:運動調節におけるアセチルコリン過剰を抑制
      その他:NMDA受容体拮抗(アマンタジン)など

薬効群

クラス作用機序
L-ドパ製剤レボドパ製剤 中枢でL-ドパ→ドパミン変換(AADC阻害薬併用で末梢変換抑制)
ドパミン作動薬ドパミン作動薬(ドパミンアゴニスト) D2/D3受容体アゴニスト(プリミ・ロピニ・カベルゴリンなど)
MAO-B阻害薬ドパミン→ドパ変換後の分解(モノアミンオキシダーゼB)を阻害
COMT阻害薬カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害
抗コリン薬M1受容体遮断によりアセチルコリン過剰を抑制
NMDA受容体拮抗薬グルタミン酸性興奮を抑制し、ジスキネジア軽減

2. どんな使い方

  • ドパミンを補う
    • 初期~中等度病期
      • 軽症例にはドパミンアゴニストやMAO-B阻害薬単独でスタートし、副作用や運動合併症を抑制
    • 中等度~進行期
      • レボドパ製剤+ドパ脱炭酸酵素阻害薬が主役(最も効果的)
      • COMT阻害薬やMAO-B阻害薬を併用し、レボドパの効果持続を図る
  • 運動症状
    • 振戦優位例
      • 抗コリン薬を追加
    • ジスキネジア(異常運動)対策
      • レボドパ用量調整、ドパミンアゴニスト漸減、アマンタジン追加
 

3. 注意点

  • オン/オフ現象
    • レボドパ効果の波(効果が急に切れる「オフ」)に注意。服薬時間厳守、食品との影響(高たんぱく食など)を指導。
  • 運動合併症
    • 長期使用で異常運動(ジスキネジア)や錐体外路症状(ディスキネジア、ジスキネジア)など。
  • 精神症状
    • 幻覚・妄想、錯乱などの中枢副作用が出ることも。
  • 心血管系
    • 起立性低血圧を起こしやすく、転倒リスク増大。立ち上がり時のケアを徹底。
  • 消化器症状
    • 吐き気・嘔吐:末梢ドパ分解抑制薬と併用し軽減、食後投与を工夫。
  • 服薬アドヒアランス支援
    • 症状コントロールに直結するので、時間どおりの服用を強調し、家族も含めた支援を。
  • 定期モニタリング
    • 症状評価(振戦・筋固縮・動作緩慢)、副作用チェック、血圧・心電図(必要時)
 

──まとめ

抗パーキンソン薬は「ドパミンを補う・作用を長引かせる・アセチルコリンとのバランスをとる」ことで運動症状を改善します。オン/オフ現象や転倒リスク、精神症状など多面的な観察・ケアを通じて、患者さんの安全と生活の質向上をサポートしましょう。
 

リーフレット

  • 協和キリン(URL
    • パーキンソン病の方のためのお家でできる飲み込みの工夫