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セロトニン(5-HT3)受容体拮抗薬

セロトニン(5-HT₃)受容体拮抗薬

① 薬効群の概要

5-HT₃受容体拮抗薬は、嘔吐の引き金となるセロトニン(5-HT)が5-HT₃受容体に結合するのを競合的に阻害し、制吐作用を示す薬剤群。CINV(急性期)・PONV・放射線誘発嘔吐の予防の柱。語尾に「〜セトロン」とつく(-setron)。

② 作用機序

  • 抗がん薬・放射線療法により消化管の腸管クロム親和性細胞からセロトニン(5-HT)が大量遊離
  • 末梢(消化管):遊離された5-HTが消化管の5-HT₃受容体に結合 → 迷走神経求心路を介して延髄嘔吐中枢へシグナル伝達
  • 中枢(CTZ):第4脳室最後野の化学受容器引金帯(CTZ)にある5-HT₃受容体を直接刺激
  • 5-HT₃受容体拮抗薬は、この末梢と中枢の両方で5-HT₃受容体を遮断し、嘔吐中枢への刺激伝達をブロック
  • D₂受容体拮抗薬と異なり、錐体外路症状(EPS)をほとんど起こさない(安全性の利点)

③ 代表薬

代表薬(一般名)先発品例特徴
オンダンセトロンゾフラン®速やかに効果発現、QT延長に注意(第1世代)
グラニセトロンカイトリル®1日1回投与可能、QT延長リスクやや低め(第1世代)
ラモセトロンイリボー®高い受容体親和性、IBS-D(下痢型)にも適応(第1世代)
パロノセトロンアロキシ®半減期 約40h → 遅発期CINVにも有効、1回投与で数日持続(第2世代)

④ 看護のポイント(観察事項)

  • 抗がん薬投与前に投与を完了(予防的投与が原則)
  • 催吐性リスクに応じた併用:高度リスク(HEC) → 5-HT₃拮抗薬 + NK₁拮抗薬 + デキサメタゾン + オランザピン(4剤)
  • 主な副作用:便秘(腸管蠕動抑制)・頭痛(最多、10〜15%)・QT延長
    • 排便状況の観察(投与後1週間は継続チェック)
    • 心疾患既往・電解質異常がある場合は心電図モニタリング
  • 長期使用時の電解質(K⁺・Mg²⁺)補正の確認
  • 併用薬の確認:CYP3A4阻害薬等との相互作用に注意

適応のまとめ:

  • CINV(化学療法誘発性悪心・嘔吐)→ 特に急性期(0〜24h)に最も有効
  • PONV(術後悪心・嘔吐)
  • 放射線療法誘発性嘔吐