中枢性D2遮断薬
制吐薬としての中枢性D2遮断薬
作用機序
延髄の化学受容器引金帯(CTZ)には血液脳関門(BBB)がなく、ドパミン D₂ 受容体が豊富に存在する。中枢性 D₂ 遮断薬は、この CTZ の D₂ 受容体を遮断することで、嘔吐中枢(VC)への刺激伝達を抑制し、制吐作用を発揮する。[1]
主な薬剤
| 分類 | 一般名(商品名) | 特徴 |
|---|---|---|
| 定型抗精神病薬 | ハロペリドール(セレネース®) | CTZ の D₂ 受容体遮断。がん患者の制吐療法に使用。 |
| 定型抗精神病薬 | プロクロルペラジン(ノバミン®) | D₂ 遮断が強力。オピオイド誘発性嘔吐にも使用。錐体外路症状に注意。 |
| 非定型抗精神病薬 | オランザピン(ジプレキサ®) | D₂ + 5-HT₂ 拮抗。CINV に適応追加(2017年)。糖尿病患者は禁忌。 |
代表的な副作用
- 錐体外路症状(EPS):パーキンソニズム、ジストニア、アカシジア(静座不能)、ジスキネジア — 中枢の D₂ 受容体遮断に起因[1]
- 高プロラクチン血症:乳汁分泌、無月経など — 下垂体の D₂ 受容体遮断に起因
- QT 延長:特にドンペリドンで心疾患患者や CYP3A4 阻害薬併用時に注意
看護上の注意点
- EPS の早期発見:手足の震え、筋硬直、じっとしていられない(アカシジア)などの観察
- 高齢者や長期投与ではとくに EPS・遅発性ジスキネジアに注意
- ドンペリドンの坐剤は内服薬より効果発現が遅い(経口の方が速効)
- オランザピンは高血糖・肥満に注意し、血糖モニタリングを実施