ヒト上皮成長因子受容体(HER)
ヒト上皮成長因子受容体(HER)
上皮成長因子受容体(EGFR, Epidermal Growth Factor Receptor)は、上皮成長因子(EGF)と結合し、細胞の増殖や成長を制御するシグナル伝達を行う。
EGFR は、チロシンキナーゼ型受容体である。EGFR に類似した構造をもつ、ErbB ファミリーの一つである。ErbB ファミリーは4つに分類される。
- ErbB-1:HER1, EFGR
- ErbB-2:HER2
- ErbB-3:HER3
- ErbB-4:HER4
ヒトの上皮成長因子受容体を、HER(human EGF receptor)という。
HER は、細胞膜受容体であり、細胞内領域に、チロシンキナーゼ(TK)領域を有している。(受容体型TK)
<信号伝達の流れ>
①受容体にリガンドが結合する
②チロシンキナーゼが活性化され、タンパク質をリン酸化する
③シグナル伝達が起こる
④細胞増殖等の生命反応が起こる
発がん機序
通常は、必要な時のみに、信号が伝達されるが、何らかの原因で、常に信号伝達が発生するため、がん細胞の細胞増殖が促進される
何らかの原因とは?
- チロシンキナーゼの変異
- 数種類の遺伝子変異が知られている EGFR
薬の薬理作用
薬の薬理作用には、以下のようなものがある。
- 抗体薬
- 受容体にリガンドが結合して信号が発生しないようにする(抗体が結合することで、免疫応答を活性化させる) <イメージ:細胞増殖のスイッチをおさせない>・・・①
- チロシンキナーゼ阻害薬
- チロシンキナーゼと結合して、反応を起こさせない <イメージ:細胞増殖のスイッチをオフにさせる>・・・②
- 信号伝達を阻害する
- チロシンキナーゼによるリン酸化に続けて、さまざまな関連物質が活性化されて、信号が伝達される
- その過程を阻害することで、細胞増殖を抑制する <イメージ:スイッチが入っても、電気刺激が伝わらないようにコードを切る>・・・③
ヒト上皮成長因子受容体(HER)に対する薬
- HER1 (EGFR)
- HER2