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03-01 高血圧・降圧薬|臨床判断

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目的:患者情報から、降圧効果・副作用・生活への影響を統合して判断する。
想定時間:約20分/全14枚
中心となる問い:血圧が下がった患者にふらつきと浮腫があるとき、何を確認し、どのように報告するか。

到達目標

授業終了時に学生が次のことを説明できる状態を目指す。
  1. 降圧薬を心臓・血管・腎臓への作用で整理できる
  1. 降圧効果と過降圧を区別できる
  1. Ca拮抗薬による末梢性浮腫と体液貯留を区別するための情報を挙げられる
  1. 投与前後の観察と報告内容を説明できる

Quarto想定

  • Source Path:
  • 形式:Reveal.js
  • 授業方法:症例提示→個人思考→ペア共有→全体解説
  • 使用時間:第03回の8~28分

スライド構成

Slide 1|今日の症例

78歳女性。高血圧でARBを服用中。2週間前にアムロジピンが追加された。
血圧は158/88mmHgから128/72mmHgへ低下した。最近、立ち上がったときにふらつく。夕方には両足首がむくむ。体重増加と呼吸困難はない。
最初の問い:この治療は「効いている」と判断してよいか。

Slide 2|個人思考:情報を3群に分ける

治療効果有害事象の可能性追加確認が必要
血圧低下ふらつき、浮腫体位別血圧、脈拍、体重、呼吸、服薬状況など
学生は1分間で症例情報を書き分ける。

Slide 3|血圧が下がった=適切とは限らない

  • 血圧値は改善している
  • 立位時のふらつきは、過降圧・起立性低血圧・脱水などを示す可能性がある
  • 浮腫は薬剤性、心不全、腎機能低下など複数の原因で起こる
  • 治療評価では、数値と患者の症状・生活機能を同時に見る

Slide 4|薬の作用点を確認する

薬主な作用症例で予測する変化
ARBAng IIのAT₁受容体を遮断血管収縮↓、アルドステロン作用↓
アムロジピン血管平滑筋のL型Caチャネルを遮断細動脈拡張、末梢血管抵抗↓
問い:2剤併用で血管が拡張したとき、立位では何が起こりやすいか。

Slide 5|ふらつきの機序

血管拡張
↓
末梢血管抵抗低下
↓
血圧低下
立位では下肢への血液移動が加わり、静脈還流・心拍出量・脳血流が一時的に低下する可能性がある。

Slide 6|ふらつきで確認すること

  • 臥位・座位・立位の血圧と脈拍
  • いつ、どの動作で起こるか
  • 失神、転倒、歩行への影響
  • 発熱、下痢、食事・水分摂取低下
  • 服薬時刻、追加・増量時期、併用薬
  • Hb、腎機能、Na・Kなど、背景に応じた検査値
⚠️
意識変化、失神、胸痛、呼吸困難、神経症状を伴う場合は、単なる降圧薬の副作用と決めつけない。

Slide 7|Ca拮抗薬で足首がむくむ理由

細動脈拡張
↓
毛細血管内圧上昇
↓
血管内から間質へ水分が移動
↓
足首を中心とした末梢性浮腫
これは全身の体液量増加と同じとは限らない。

Slide 8|薬剤性浮腫と体液貯留を比較する

確認項目Ca拮抗薬による末梢性浮腫を示唆心不全などの体液貯留を示唆
発症時期開始・増量後病状悪化に伴う
体重大きな増加がないことも多い短期間で増加しやすい
呼吸困難通常は伴わない伴うことがある
分布足首、夕方に目立つことがある下腿、全身、肺うっ血など
評価服薬時期、浮腫、血圧体重、尿量、SpO₂、呼吸、腎機能
単一所見で確定しない。

Slide 9|主要降圧薬の比較

薬効群主な作用点主な注意看護観察
Ca拮抗薬血管頭痛、ほてり、浮腫血圧、脈拍、浮腫、生活影響
ARBRAAS高K、腎機能低下、妊娠時禁忌K、Cr/eGFR、脱水、妊娠可能性
ACE阻害薬RAAS空咳、高K、血管浮腫、妊娠時禁忌K、腎機能、咳、顔・舌の腫れ
サイアザイド系腎臓低Na、低K、脱水、尿酸上昇体重、尿量、Na、K、尿酸、転倒
β遮断薬心臓・腎臓徐脈、心不全悪化、気管支攣縮脈拍、血圧、呼吸、倦怠感

Slide 10|投与前・投与後の観察

時点確認すること
投与前血圧、脈拍、症状、食事・水分、排泄、直近の転倒、服薬状況
開始・増量後血圧推移、ふらつき、浮腫、脈拍、活動耐容能、検査値
継続中家庭血圧、服薬継続、生活への影響、臓器障害・副作用の徴候
測定値だけでなく、測定条件と症状を記録する。

Slide 11|患者への説明

  • 自覚症状がなくても、臓器障害を予防するために治療を続ける
  • 自己判断で中止・増減しない
  • 家庭血圧は同じ条件で測定・記録する
  • 立ち上がりはゆっくり行い、ふらつく場合は無理に歩かない
  • 脱水につながる発熱、嘔吐、下痢、摂取低下を医療者へ伝える
  • 減塩、運動、体重管理、節酒などを無理のない行動目標にする

Slide 12|グループ課題

次の4点を3分でまとめる。
  1. 降圧効果は得られているか
  1. ふらつきの原因として何を考えるか
  1. 浮腫の原因を判断するために何を確認するか
  1. 転倒を防ぐために、その場で何を行うか

Slide 13|報告の練習

SBAR例
  • S:降圧薬追加後、立位時のふらつきと両足首の浮腫があります
  • B:2週間前にアムロジピンが追加され、血圧は158/88から128/72mmHgへ低下しました
  • A:過降圧または起立性低血圧、Ca拮抗薬による浮腫を考えます。体重増加・呼吸困難はありません
  • R:体位別血圧、脈拍、転倒リスクを確認し、処方評価を相談したいです

Slide 14|Exit Ticket

高血圧患者で、降圧薬追加後に血圧は低下したが、立位時のふらつきが出現した。
  1. 起きている可能性を薬理作用と関連づけて説明する
  1. 追加で確認する項目を2つ挙げる
  1. 患者へ伝える安全行動を1つ挙げる

教員用評価基準

  • 血管拡張・末梢血管抵抗低下と血圧低下を関連づけている
  • 体位別血圧、脈拍、摂取・脱水、転倒歴などを理由とともに挙げている
  • 自己中止を勧めず、安全確保と医療者への共有を示している

関連教材

参考資料

確認日:2026年9月24日