9. 向精神薬

向精神薬とは、中枢神経系に作用し、精神機能を変容させる薬物の総称

ハイリスク薬の薬学的管理

精神神経系用剤の薬学的管理指導において特に注意すべき事項
  1. 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
  1. 服薬に対する意識が低い患者及び患者家族への教育とアドヒアランスの向上
  1. 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育
    1. 原疾患の症状と類似した副作用(錐体外路症状、パーキンソン症候群等)
    2. 致死的副作用(悪性症候群、セロトニン症候群等)
    3. 非定型抗精神病薬による、血液疾患、内分泌疾患等
    4. 転倒に関する注意喚起
  1. 薬物の依存傾向を示す患者等に対して、治療開始時における適正な薬物療法に 関する情報を提供
  1. 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認
  1. 自殺企図等による過量服薬の危険性のある患者の把握と服薬管理の徹底
日本薬剤師会「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版・平成23年)」
●自殺のサイン(自殺予防の十箇条)「自殺総合対策大綱の概要」(パンフレット)より
(次のようなサインを数多く認める場合は、自殺の危険が迫っています。)
1. うつ病の症状に気をつけよう (気分が沈む、自分を責める、仕事の能率が落ちる、決断できない、不眠が続く) 2. 原因不明の身体の不調が長引く 3. 酒量が増す 4. 安全や健康が保てない 5. 仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う 6. 職場や家庭でサポートが得られない 7. 本人にとって価値あるもの(職、地位、家族、財産)を失う 8. 重症の身体の病気にかかる 9. 自殺を口にする 10. 自殺未遂におよぶ
 

関連学会・団体

日本自殺予防学会
いのち支える自殺対策推進センター https://jscp.or.jp
 

向精神薬の等価換算

参考)日本精神科評価尺度研究会 http://jsprs.org/index.html
 

抗精神病薬の減量

SCAP(safety correction of high-dose antipsychotic polypharmacy)法による減量プロトコール
1回・1週当たりの減量
高力価薬[クロルプロマジン(chlorpromazine ; CP):100㎎との等価量が10 ㎎未満であるもの]はCP換算で50 ㎎以下
低力価薬(CP 100㎎との等価量が10 ㎎未満であるもの)はコリン性副作用の離脱を考慮してCP換算で25 ㎎以下
SCAP法とは、3~6ヵ月かけて、1種類ずつ、ごく少量ずつ、減量を休むことも戻すことも可能という、非常にゆっくり減量する方法