排尿困難

排尿困難(dysuria / voiding difficulty)

「尿が出にくい」状態の総称。尿勢低下排尿開始困難尿線途絶排尿時間延長残尿感など。
急性尿閉(全く出ない+下腹部膨満・痛み)は緊急。
📋

まず整理(症状の聞き方)

  • いつから(急性 / 慢性)
  • 出ない?出にくい?(尿閉か、尿勢低下か)
  • 痛み・発熱・血尿(感染・結石・腫瘍など)
  • 残尿感 / 下腹部膨満(尿閉・残尿増加)
  • 既往:前立腺肥大症、脳卒中・脊髄疾患、糖尿病(神経障害)
  • 服薬:抗コリン作用のある薬(抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬、抗精神病薬、鎮痙薬、LAMA/抗コリン吸入薬など)、オピオイド など
🧩

主な原因(代表例)

  • 閉塞性(出口が狭い)
    • 前立腺肥大症、尿道狭窄、尿道結石、腫瘍、便秘(圧迫)
  • 排尿筋の収縮低下 / 協調不全
    • 神経因性膀胱(脳卒中、脊髄疾患、多発性硬化症など)
    • 糖尿病性自律神経障害
  • 薬剤性
    • 抗コリン作用 → 膀胱排尿筋収縮↓残尿↑/尿閉
    • オピオイド → 排尿反射抑制、便秘による悪化など
🔬

評価(まず安全確認)

  • 緊急受診のサイン:全く排尿できない、下腹部膨満・強い痛み、発熱、血尿、意識変容
  • 残尿測定(超音波など)
  • 尿検査(感染・血尿)
  • 可能なら 排尿日誌(回数・尿量・症状)
💊

治療(治療薬の位置づけ)

※ 原因(閉塞性・神経因性・薬剤性など)で治療が変わる。急性尿閉はまず導尿/カテーテルなどの緊急対応が優先。

1) 前立腺肥大症(BPH)など閉塞性が疑われるとき(代表的)

  • α1遮断薬(尿道・前立腺平滑筋を弛緩 → 尿が出やすくなる) 例:タムスロシン、ナフトピジル、シロドシン など
  • 5α還元酵素阻害薬(前立腺を縮小:効果は数か月単位) 例:デュタステリド、フィナステリド

2) 神経因性膀胱(排尿筋収縮低下・協調不全など)

  • 方針:残尿が多い場合は間欠自己導尿などが中心になることが多い(原因評価が重要)
  • 薬の例:コリン作動薬(ベタネコール等)が検討されることがある(適応・効果は状況による)

3) 薬剤性(抗コリン作用などが原因)

  • 原則:原因薬の見直し(中止・減量・代替)+残尿・尿閉の評価
  • 例:感冒薬(抗ヒスタミン)、三環系抗うつ薬、抗精神病薬、鎮痙薬、抗コリン吸入薬、オピオイド など
💊

薬剤との関係(看護の観察ポイント)

  • 抗コリン作用のある薬を開始/増量したあとに、
    • 尿量↓、排尿回数変化、残尿感、下腹部膨満、尿勢低下 が出ていないか
  • 前立腺肥大症のある人では 尿閉リスクが上がるため特に注意
  • 便秘があると排尿困難が悪化することがある(排便状況もセットで観察)
🧑‍⚕️

看護師向け:指導の要点

  • 「出ない」は危険:尿閉は我慢せず早めに受診
  • 水分摂取は「むやみに減らしすぎない」一方、就寝前の過剰飲水は調整
  • 薬の自己中断はしない(疑ったら医師・薬剤師へ相談)