CKD 治療における SGLT2 阻害薬の適正使用に関する Recommendation
Recommendation(概要のみ)
- SGLT2 阻害薬は,糖尿病合併・非合併にかかわらず,CKD 患者において腎保護効果を示すため,リスクとベネ フィットを十分に勘案して積極的に使用を検討する。
- 糖尿病合併 CKD 患者:
- アルブミン尿(蛋白尿),腎機能に関係なく腎保護効果が期待される
- クリニカルエビデンスを有する SGLT2 阻害薬の積極的な使用を考慮する
- eGFR 15 mL/分/1.73m2 未満では新規に開始しない
- 糖尿病非合併 CKD 患者:
- 蛋白尿陽性の CKD(IgA 腎症や巣状分節性糸球体硬化症など)
- 原疾患治療+SGLT2i
- SGLT2 阻害薬投与後に eGFR の低下(eGFR initial dip)
- 糖尿病合併・非合併にかかわらずおこる
- 早期 (2 週間~ 2 カ月程度)に eGFR を評価する
- その後も eGFR が維持されていることを確認
- 高血圧,貧血,脂質異常症,高尿酸血症を有する CKD
- CKD に対する SGLT2 阻害薬の投与は有用である可能性がある
- SGLT2 阻害薬の中止を考慮する場合
- 糖尿病 “非” 合併 CKD 患者においても,食事摂取量の不足,栄養不良状態,飢餓状態,激しい筋肉運動,過度のアルコール摂取,副腎機能不全,下垂体機能不全,シックデイなどの状況下では低血糖や正常血糖ケトアシドーシス などの代謝異常を生じる可能性があるため,SGLT2 阻害薬の中止を考慮する。
- 食事摂取ができない手術が予定され ている場合には,術前 3 日前から休薬し,食事が十分摂取できるようになってから再開する。
- 利尿薬を使用している CKD 患者や血糖コントロールが極めて不良な糖尿病患者:
- 脱水や急性腎障害(AKI)を来す可能性があるため要注意
- 高齢 CKD 患者
- サルコペニアやフレイルの発症・増悪に注
- 尿路・性器感染症
- 糖尿病 “非” 合併 CKD 患者においても同様に
- 多発性囊胞腎,ループス腎炎,ANCA関連血管炎,免疫抑制療法中の患者
- 現時点で十分なエビデンスはない
日腎会誌 2023;65(1):1-10
関連)