糖尿病治療における SGLT2 阻害薬の適正使用に関する Recommendation
Recommendation(概要のみ)
- 1型糖尿病患者の使用
- リスクを伴うことを認識し、専門医の指導のもとで
- インスリンやSU薬等インスリン分泌促進薬と併用する時
- 低血糖に十分に注意し、減量を考慮
- 高齢者には慎重に
- 75歳以上の高齢者
- 65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある場合
- 脱水防止の対策
- 十分に患者に説明し、対策を講じる
- 利尿薬の併用時には特に脱水に注意する
- シックデイには必ず休薬する
- 発熱・下痢・嘔吐などがあるとき
- 食思不振で食事が十分取れないような場合
- 手術が予定されている場合には、術前3日前から休薬し、食事が十分摂取できるようになってから再開
- ケトアシドーシスの兆候
- 全身倦怠・悪心嘔吐・腹痛などを伴う場合
- 血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性がある
- 皮膚症状
- 薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合、速やかに休薬し、皮膚科にコンサル
- 外陰部と会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊死)を疑わせる症状にも注意
- 尿路感染・性器感染
- 適宜問診・検査を行い発見に努める
- 質問紙の活用も推奨される
SU薬とSGLT2阻害薬を併用する時のSU薬の減量基準
- グリメピリド:2mg/日以下
- グリベンクラミド:1.25mg/日以下
- グリクラジド:40mg/日以下
脱水
SGLT2阻害薬投与初期:通常体液量が減少するので、適度な水分補給を行うよう指導する
脱水の注意点
- 血栓塞栓症の発現可能性がある
- 急性腎障害を引き起こすことがある
- 特に、以下の薬を併用する時には、注意が必要
- 利尿薬、ACE阻害薬、ARB、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
- 脱水を起こしやすい:
- 5歳以上の高齢者
- 65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある場合
- 利尿薬併用
- 高血糖高浸透圧性非ケトン性症候群
- ビグアナイド薬と併用する時には、脱水がビグアナイド薬による乳酸アシドーシスの重大な危険医師であることにも注意
皮膚症状
- 症状:掻痒症、薬疹、発疹、皮疹、紅斑など(大半は非重篤)
- 好発時期:SGLT2 阻害薬投与後1日目からおよそ2週間以内
- 交差性:ありそう
- あるSGLT2阻害薬で皮疹を生じた症例で、別の SGLT2 阻害薬に変更しても皮疹が消日可能性があるため、SGLT2 阻害薬以外の薬剤への変更を考慮する
- 特に注意すべき症状
- 粘膜に皮疹を認めた場合
- 粘膜:眼結膜、口唇、外陰部
- 皮疹:発赤、びらん
フルニエ壊疽
- 海外で症例が報告されており、国内でも因果関係が否定できない外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)が報告されていることを受けて、2019年5月に添付文書が改訂された
- フルニエ壊疽とは?
- 会陰部,外性器部,肛門周囲に生じる感染性の壊死性筋膜炎
- 急速に進行する
尿路・性器感染症
- 好発時期:投与開始から2、3日および1週間以内に起こる例もあれば2ヵ月程度経って起こる例もある
- ポイント:
- 陰部清潔
- 毎日入浴する
- ウォシュレットを使用する
- 飲水
- 飲水を我慢しすぎない
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