降圧薬と妊娠
代表的な薬剤名
Ca 拮抗薬
アムロジピン
アムロジピンベシル酸塩(アムロジン/ノルバスク)
ニフェジピン
ニフェジピン(アダラート/セパミット)
他
ARB
ACE 阻害薬
利尿薬
β遮断薬
妊娠と薬
RAS 阻害薬
ARB ACEi DRI ARNI
添付文書:「禁忌」
時期:妊娠中期以降
理由:胎児毒性(腎障害、羊水過少、四肢の異常、頭蓋・顔面の異常、肺低形成など)
機序:胎児のレニン・アンジオテンシン系を阻害するため
妊娠前から高血圧治療を受けており、妊娠に気づかず、ARB の治療を続けていた場合?
- 妊娠初期における薬剤の影響について
ARB/ACEi・・妊娠初期に服用していたとしても、妊娠が成立している時点で、赤ちゃんの先天異常は、大きく増えないと言われています。過度に心配なさらないでください。
ただし、妊娠中期以降に服用した場合、薬が赤ちゃんの腎臓に影響するため、妊娠中期以降は、この薬を使うことはできません。
妊娠がわかった時点で、高血圧の治療を受けている主治医に相談しましょう。
妊娠中の血圧管理は、お母さんや赤ちゃんを守るためにも大切です。
- アムロジピン・ニフェジピン
アムロジピン:
添付文書:有益性
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与
時期:妊娠末期
理由:妊娠期間及び分娩時間が延長
ニフェジピン
ニフェジピン:
添付文書:有益性
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与
時期:妊娠中
理由:
- 動物実験において、催奇形性・胎児毒性
Ca 拮抗薬
アムロジピン・ニフェジピン以外
- アムロジピン・ニフェジピン以外の Ca 拮抗薬
添付文書:「禁忌」
時期:妊娠中
理由:
- 動物実験において、催奇形性・胎児毒性
妊娠前から高血圧治療を受けており、妊娠に気づかず、アムロジピンの治療を続けていた場合?
- 妊娠初期における薬剤の影響について
アムロジピンを服用中に妊娠が判明した人を追跡調査した結果、アムロジピンを服用していたことによって、赤ちゃんの先天異常が増えたということはありませんでした。
(添付文書は、あくまでも動物実験に基づくものでした)
海外のガイドラインでは、Ca 拮抗薬は、妊娠中の高血圧治療の第一選択薬とされています。
高血圧を合併する妊婦さんでは、そうではない方と比べて、早産や低出生体重児など合併症の割合が高いと言われていますので、血圧の治療をすることは、お母さんや赤ちゃんを守るためにも大切です。
また、血圧の治療をしている人は、妊娠できない訳でもありません。高血圧を治療中の女性は、妊娠を希望する段階で、主治医に相談することが必要です。
妊娠中も治療の継続が重要ですので、主治医に相談しながら、あなたに合った方法を考えていきましょう。