セロトニン症候群
セロトニン症候群
セロトニン症候群は、セロトニン作動薬(SSRI/SNRI、MAOI、トリプタン、リネゾリド等)の併用や増量などで、体内のセロトニン作用が過剰になり、精神症状+自律神経症状+神経筋症状を呈する緊急病態。疑った時点で原因薬中止と緊急受診(入院管理)が必要。
1) どんな病態?
- 中枢・末梢のセロトニン作用が過剰になることで発症
- 発症は比較的急性(数時間〜1日程度)で進行することが多い
2) 原因・誘因(薬剤)
よく関わる薬剤(例)
- 抗うつ薬:SSRI/SNRI
- MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)
- 鎮痛薬の一部:トラマドール など
- 片頭痛治療薬:トリプタン系
- 抗菌薬:リネゾリド
- 鎮咳薬:デキストロメトルファン
- 制吐薬の一部(セロトニン系に関わる薬剤)
- サプリ・嗜好品:セントジョーンズワート など
起こりやすい状況
- 併用(セロトニン作用が重なる)
- 増量、過量服用
- 代謝阻害(相互作用)や腎肝機能低下で血中濃度が上がる
3) 典型的な症状(3本柱で覚える)
精神症状
- 不安、焦燥、興奮、錯乱、意識変容
自律神経症状
- 発汗、発熱、頻脈、血圧変動、下痢、嘔気
神経筋症状(見分けの要点)
- ミオクローヌス、振戦
- 腱反射亢進
- 筋硬直
- 眼球クローヌス(眼球が細かく動く)、四肢クローヌス など
4) 重症化のサイン
- 高熱、強い筋硬直
- けいれん、意識障害の進行
- 横紋筋融解、腎障害、DIC など
5) 対応(概要)
- 原因薬中止(最優先)
- supportive care:鎮静、補液、冷却、合併症対応
- 必要に応じてセロトニン拮抗薬(施設・医師判断)
- 重症例はICU管理
6) 鑑別(似ているがポイントが違う)
- 悪性症候群(NMS):ドパミン遮断(抗精神病薬)/筋強剛(鉛管様)+CK上昇など、発症が亜急性のことが多い
- 悪性高熱症(MH):麻酔関連薬が誘因、周術期、EtCO₂上昇が早期サインになりやすい
- 重症感染症、熱中症、けいれん重積 など
7) 看護で押さえる観察・申し送りポイント
- 薬剤歴:開始・増量・併用(市販薬/サプリ含む)
- バイタル(体温、頻脈、血圧変動)、発汗、下痢
- 意識レベル、不穏・興奮の程度
- ミオクローヌス、腱反射亢進、クローヌスの有無
- 採血(CK、腎機能、電解質など)と経時変化